元営業部長だから知っている 不動産投資 騙しの手口

第1章 告白! 不動産投資はこんな世界

 

新卒入社後1年で年収2千万円を超える営業マンがいる世界。

 

これが不動産業界である。

 

年収が高いのには理由がある。

 

例えば新築ワンルームマンションには、400万円~500万円もの利益が上乗せされているからだ。

 

そのうち、営業マンのインセンティブは1件100万円程度。

 

月2件売れば月収200万となる。

 

この高額インセンティブを餌に、不動産会社は売れ残り物件を営業マンに販売させる。

 

インセンティブが欲しい営業マンは売残り物件を

”売り切れ間近物件”

として顧客へ販売する。

 

営業マンは勧めたい物件を勧めるのではない。

 

とにかく1件でも多く売りたいのである。

 

そんな営業マンがターゲットにするのが、ローン審査に通りやすい医師や弁護士、公務員だ。

 

そうした属性の良い人たちにはすぐに2件目の契約を持ちかける。

 

1件目の購入で妙な度胸がつき、気が緩む場合が多いからだ。

 

買主が、自分が住む住宅ローンの審査にも通らなくなることなど構いはしない。

 

ローン与信枠いっぱいを使わせ、2件目を売りつけようとする。

 

彼らが考えるのは、自分のインセンティブとノルマだけだ。

 

不動産投資に対する知識があっても、実際に投資を行うと想定外のことが起きるものである。

 

2件目以降の購入は、そうしたトラブルを経験した上でローンも返済でき、利益を出せる自信がついてから考えるべきだ。

 

 

 

第2章 注意! こんなセリフは騙しのサイン

 

■「とりあえず買付だけでも入れてください」

 

こう言ってまずは買付(物件購入の申込み)をさせる。

 

買付だけなら法的には解約可能だ。

 

しかし「不動産会社と取引できなくなる」など、営業マンはあの手この手で解約に応じない。

 

 

■「自己資金ゼロで物件が買えますよ」

 

資金ゼロのギリギリの資金計画だと、想定以上に空室が増えると即破綻してしまう。

 

 

■「あなたなら、ローンの審査に問題ありません」

 

「仮にローンは通ったとしても、その先の運用はあなた次第である」と翻訳して受け止めるべきだ。

 

 

■「必ず年金代わりになりますよ」

 

「必ず」という言葉を使う営業マンを信じるべきではない。

 

 

■「高利回りだからすぐローン完済できます」

 

「高利回り」とは満室を前提にした利回りのことである。

 

空室リスクも踏まえ、いくら手元に残るかを慎重に検証すべきだ。

 

 

■「新築だからすぐに入居者は決まります」

 

新築物件プレミアムは初年度の1回限り。

 

1年経過すれば中古物件となり、新しく建築された周辺物件に対する競争力は失われる。

 

 

■「大きな節税になります」

 

節税効果があるのは、一握りの高額所得者のみである。

 

 

■「サブリース契約だから安心です」

 

30年間も保証会社が存続する保証はどこにもない。

 

 

■「一般には公開していない非公開物件情報です」

 

本当に良い物件は、市場に出る前に売れてしまう。

 

買手の自尊心をくすぐるだけの営業トークである。

 

 

■「購入後、オーナーは何もしなくていいです」

 

不動産管理会社へ管理を委託すれば、たしかに管理は不要。

 

しかし手数料で収支が悪化する可能性がある。

 

 

■「お金があれば、本当は自分が買いたいです」

 

本当に良い物件は市場に出る前に、業者が自身で購入してしまう。

 

「お金があっても買いたくない物件」をすすめていると考えるべき。

 

 

 

第3章 極秘!営業マンが隠したがる不動産投資のリスク

 

不動産投資で最もこわいリスクは「空室リスク」である。

 

家賃保証があるから空室の心配は無用とはならない。

 

まず家賃保証をする保証会社が永続してくれる保証は、どこにもないのだ。

 

一口に家賃保証と言っても、契約の内容に左右される。

 

例えば1カ月前に通知すれば契約解除可能となっている場合などがある。

 

数ヶ月経ってすぐに契約解除を要請されたら、その後の家賃保証を受けられなくなる。

 

こうしたリスクについて営業マンは詳しく説明せず、投資の安全性ばかりを強調する。

 

次に、意外に多いのが家賃滞納リスクである。

 

滞納を放っておくと最悪夜逃げされてしまい、その間の家賃回収もほぼ困難になってしまう。

 

自殺や殺人により、部屋が事故物件となってしまうリスクもある。

 

事故物件となれば、入居者を確保できても当初想定の家賃設定ができなくなる。

 

地震、火災、落雷、水害など、災害リスクも注意が必要だ。

 

仮にぼや程度の火災で済んだとしても、壁がこげたり、すすで汚れたりすればクロスは全面張替えとなる。

 

災害リスクの対処は保険加入が一番だ。

 

火災保険と地震保険はセットで加入すべきである。

 

他にも管理会社が倒産してしまうリスクや、ローンの金利上昇リスクなどもある。

 

そうしたリスクを想定した上で、不動産投資は慎重に検討すべきだ。

 

 

 

第4章 禁断! やってはいけない不動産投資の負けパターン

 

「超低金利時代だから、頭金は貯めるだけ損だ」

 

これを口実に営業マンはフルローンや、犯罪すれすれのオーバーローンをすすめてくる。

 

手元に資金がないぎりぎりの状態で、借金に頼って物件を購入するのは危険だ。

 

空室率が高まったり、予想外の修繕費が発生したりすれば、たちどころに資金は行き詰まる。

 

まして、所得や物件価格偽装がともなうオーバーローンは犯罪だ。

 

営業マンがやったことだとしても、借主も責任を問われる場合がある。

 

また「安い金利ではローンが通らない」という理由で、高金利の金融会社を利用するのもやってはいけない資金調達法だ。

 

現在は超低金利の時代である。

 

将来、高い金利がさらに高まる可能性があるからだ。

 

ボロ物件への不動産投資も注意が必要である。

 

価格が安価でも、修繕費は築浅物件よりかかってしまう。

 

銀行融資も受けにくい上、売却も難しいというデメリットもある。

 

リフォームに対する知識やノウハウがなければ、修繕の際、リフォーム会社のカモとなる可能性もある。

 

また不動産投資では、つい物件ばかりに目がいきがちだが地域の選択も重要である。

 

例えば営業マンは「この地域はファミリー層が多いので単身向け物件は重宝する」といった説明をすることがある。

 

しかしファミリー層が多いエリアは、単身者層には不人気なのだ。

 

また、私大そばのエリアは私大が移転すると学生の賃貸需要が激減する。

 

移転が少ない国立大学そばで、かつ駅近物件の方がおすすめである。

 

 

 

第5章 推奨! 投資するならこんな物件

 

 

不動産投資初心者におすすめするなら「都心」「駅近」「中古物件」の三条件である。

 

■都心

 

「都心」とは東京以外の札幌、横浜、名古屋、大阪、福岡など大都市のことである。

 

それらの大都市は生活の利便性が高いため、高齢者も含めて人口集中が続いている。

 

この先も一定の賃貸需要が期待できるからだ。

 

 

■駅近

 

次に「駅近」だが、徒歩8分ほどが最もおすすめの距離である。

 

逆に10分以上は避けた方が良い。

 

住宅購入であれば、予算の関係で駅から少々距離があっても仕方がないと考えてくれる。

 

しかし一定の経済力があるサラリーマンなら、わざわざ駅から遠い物件を借りようとは思わない。

 

ただ駅に近すぎると、商店街などの喧騒が嫌がられる場合もある。

 

したがって駅から8分前後の距離が賃貸エリアとして理想なのだ。

 

また官庁がそばにあるエリアは、特におすすめのエリアとなる。

 

官庁があれば公共施設も周辺に多く、治安や周辺環境も良いからだ。

 

 

■中古物件

 

「新築」ではなく「中古物件」をすすめる理由は価格差にある。

 

「新築」は500万円~600万円といった、高額な利益が上乗せされているからだ。

 

また「新築」というブランドは購入して2~3年ですぐになくなってしまう。

 

従って、安価な中古を買ってリフォームするのが一番のおすすめとなる。

 

大手不動産会社がホームページで最も宣伝している物件も、実はおすすめ物件だ。

 

大手であれば、問題のある物件を宣伝するとたたかれてしまうからだ。

 

 

最後に、知識が豊富で信頼できる営業マンを味方にできれば心強い。

 

自己資金を用意することを勧める誠実な営業マンを味方に付け、優良物件を探し出そう。