不動産広告の歴史を知る【第3回】バブル期の不動産広告:華やかさと過熱するステータス競争
目次
- はじめに
- バブル期の到来:土地神話と狂乱の時代
- 地価高騰と投資ブーム
- 「いつかは東京」「都心回帰」の潮流
- 豪華絢爛な不動産広告の特徴
- タワーマンションや高級邸宅を華麗に演出
- CM、雑誌、パンフレットに見るバブルらしさ
- 「ステータス」「贅沢感」を煽るコピーの数々
- 高級ブームとブランド志向の融合
- 有名人・タレントを起用したプロモーション
- バブル崩壊へ:広告が迎えた変化の兆し
- 価格下落と売れ残り物件の増加
- 消費者の冷静化と広告戦略の見直し
- まとめ
1. はじめに
こんにちは、RealtyBank代表の川上です。今回は「不動産広告の歴史」シリーズ第3回、まさに“伝説”とも言えるバブル期にスポットを当ててみます。バブル期って、不動産に限らず何もかもが「金余り」な雰囲気で、テレビでも「土地成金が〇〇買いした」とか「○億円のジュエリー披露」なんてニュースが飛び交っていたようです(僕はまだ生まれたばかりで記憶もありませんが、なんとなく“浮かれた時代”という印象が残っています)。
そんなバブル期、不動産広告も当然のように「豪華さ」や「ステータス」を前面に打ち出し、独特のきらびやかさにあふれていました。今回はその華やかな広告の実態や、バブル崩壊に向かうまでの流れを一緒にひも解いていきましょう。
2. バブル期の到来:土地神話と狂乱の時代
■ 地価高騰と投資ブーム
バブル期と呼ばれるのは、だいたい1985年のプラザ合意あたりから1990年代初頭くらいまでの間です。円高対策で金融緩和が行われ、銀行からの融資がジャブジャブに増えたことで、株や不動産への投資が加速。土地価格は青天井で上がり、「東京の地価だけでアメリカ全土が買える」なんてジョークがまことしやかに語られるほどでした。
不動産は投資の対象としてもてはやされ、「買わなきゃ損」「もっと値上がりする」といった楽観的なムードが蔓延。住宅用に買うというより、転売益や資産価値の上昇を狙う「投機目的」の人も多かったんですね。で、不動産会社もこれを見逃すわけがなく、広告を通じて「資産価値の高い物件」アピールを存分に行っていました。
■ 「いつかは東京」「都心回帰」の潮流
さらにバブル期は「都心回帰」の意識が高まった時代でもあります。高度成長期の団地ブームとは打って変わって、都心の一等地にブランドタワーマンションを持つことがステータス、みたいな考え方が広がっていくわけです。「郊外より都心」が一気にメインストリームになり、広告でも「東京の真ん中で贅沢な暮らしを」「世界都市・東京の夜景を独り占め」といったフレーズが踊っていました。
3. 豪華絢爛な不動産広告の特徴
■ タワーマンションや高級邸宅を華麗に演出
バブル期の不動産広告といえば、高級感あふれる写真やイラストがまず印象的です。大理石のエントランスホール、煌びやかなシャンデリア、スパ施設のような浴室…。パンフレットを開けばまるでホテルかと思うような写真が並んでいて、当時の人々は「いつかはこんなタワーマンションに住みたい!」と胸をときめかせていたんですね。
分譲戸建てや“豪邸”の広告でも、洋館風の外観や、これ見よがしに大きい玄関ドアなどを載せて、「まるで異国の邸宅」「○○平米超えの贅沢空間」というキャッチコピーが目を引きました。これは不動産の“実需”というより、いかにステータスシンボルとしての家を演出するかが重視されていた証拠かもしれません。
■ CM、雑誌、パンフレットに見るバブルらしさ
テレビCMや雑誌広告も華やかそのもの。人気タレントや女優を起用して「都心の夜景を見下ろす私って最高にオシャレ!」みたいな映像を流し、テロップで「億ション登場」「都心最高峰のタワーライフ」などと煽るわけです。
雑誌ではグラビアページを贅沢に使って、モデルが高級マンションのバルコニーから笑顔で外を見渡しているカットとか。もう、広告全体が“煌びやかなファッション雑誌”の延長みたいな雰囲気でした。そしてこれがなんと売れちゃうんだから、時代の熱気ってすごいですよね。
4. 「ステータス」「贅沢感」を煽るコピーの数々
■ 高級ブームとブランド志向の融合
バブル期は不動産以外にも、ブランド品や高級車がバカ売れした時代です。いわゆる「ブランド志向」が最高潮に達していて、「いいモノを持ってる自分=カッコいい」みたいな風潮。そこにうまく乗っかったのが高級マンションの広告でした。
「セレブリティ」「ラグジュアリー」「スイートルーム感覚」「ホテルライク」といった言葉が盛んに使われ、パンフレットのデザインもゴールドや黒を基調にしてゴージャス感を醸し出すことが多かったんです。「購入することがステータスになる」という訴求が受け入れられた背景には、“土地神話”や“高級志向”が根強くあったんでしょうね。
■ 有名人・タレントを起用したプロモーション
さらに企業イメージの向上や商品(=物件)の格を上げるために、テレビCMや雑誌広告に有名人を起用する手法が盛んになりました。アイドルグループをイメージキャラクターにしたり、一流俳優が登場するCMで「最高の人生をここから」なんてキャッチコピーを放ったり。
当時はテレビCMの影響力が非常に大きかったので、「あの憧れの芸能人がPRしている物件」というだけでプレミア感が上がるわけです。しかも土地価格が上昇し続けるという前提があったので、高額な宣伝費をかけても「売れれば十分回収できる」時代でもありました。
5. バブル崩壊へ:広告が迎えた変化の兆し
■ 価格下落と売れ残り物件の増加
しかし、1980年代末から90年代初頭にかけて、バブルは弾けます。地価が下落し始めると、これまでの“土地神話”や“右肩上がり”の前提が崩れ、「高額物件が売れない」「在庫が積み上がる」という事態に。不動産会社も一斉に在庫処分の必要に迫られ、広告の路線も少しずつ変わっていきます。
それまで「億ション」「贅沢」「ステータス」と鼻息荒く宣伝していたものが、急に「値下げしました!」とか「低金利ローンで月々○万円」といった現実的な訴求に変わっていったんですね。華やかだったバブル広告は、消費者の冷静化とともに終焉を迎え、逆に自社のブランドイメージを傷つけた企業も少なくありません。
■ 消費者の冷静化と広告戦略の見直し
バブル崩壊後は、購入者も「どうせ値上がりするだろう」ではなく、「この物件、本当に価値があるの?」と冷静に考えるようになりました。ここで不動産会社側も「一見の豪華さ」より「立地や品質、価格の妥当性」を示す広告づくりにシフトせざるを得なくなったわけです。
また、この頃から消費者保護の観点や景品表示法・公正取引規約などのルールの厳格化がさらに進んだことで、豪華さを誇張するだけの表現は通用しにくくなっていきます。悪質な誇大広告は処分の対象になるので、業界全体が広告表現を見直さなきゃいけない時代に入ったとも言えますね。
6. まとめ
バブル期の不動産広告は、その時代特有の「いけいけムード」を見事に体現していました。都心の超高級マンションが売れに売れて、広告も派手なタレント起用や贅沢なパンフレットで煽りまくる…。今振り返ると「なんだか夢のような話」ですが、あの時代の真っ只中では「これが当たり前」だったんですね。
ただ、バブルが弾けた途端、不動産広告も痛烈に現実を突きつけられることになります。土地神話の崩壊と共に、価値のない物件は売れなくなるし、消費者の見る目はシビアになり、広告の誇大表現は敬遠されるように。まさに「調子に乗りすぎたら落とし穴が待っていた」という典型的な展開ですが、その学びは今でも生きています。
次回は、バブル崩壊後から現在に至るまでの変遷、特にインターネットやSNSの普及が不動産広告をどう変えたのかを見ていきたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございます! 次回もどうぞお楽しみに。
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