ハーバード式不動産投資術

「ハーバード式不動産投資術」

 

 

序章 ハーバード式不動産投資術を学ぶための心得

 

あなたはなぜ不動産投資を行いたいのか。

 

不動産投資家として成功をつかむためにも、不動産投資を学ぶ前にこのことを考える時間を設けて欲しい。

 

また、ハーバード式不動産投資術を学ぶなら、必要な準備体操がある。

 

・GPI(満室時の家賃収入)

・EI(空室考慮時の家賃収入)

・OPEX(賃貸物件の運営経費)

・NOI(諸経費等差し引いた実質収益)

 

などの重要不動産用語と

 

・BOE分析(不動産投資家が物件を見て回った際、封筒の裏面(Back of Envelope)に書き込んで分析を行っていたことから名付けられた、最小限の数値項目で素早く物件を分析する方法)

 

という普遍的な不動産投資分析法を、投資の基本として学んでおくことである。

 

これらの用語や分析法は実は世界共通で、一度身に付ければ世界中の不動産を対象に投資分析が出来る、一生もののスキルとなり得るのだ。

 

 

 

1章 ハーバード式不動産投資術 普遍の方程式「Creating α」

 

「Creating α」とは、よりリターンが高い不動産投資を実現するために、次の重要なファクターにおいてアイデアを創出し、平均値を上回るよう努めることである。

 

重要なファクターとして挙げられるのが

・デザイン(2章で説明)

・ファイナンシング(3章で説明)

・チームビルディングとネットワーキング(4章で説明)

・景気サイクルと出口戦略(5章で説明)

・再現性と成長性(6章で説明)

の5項目である。

 

それら5つのファクターで平均値を上回り続けた場合、どうなるか。

 

筆者は700万円の自己資金を5年間で26倍に拡大させたが、このように小額の資産を指数関数的に拡大させてゆくことが可能になる。

 

では平均値を上回るためには、どうすれば良いか。

 

ユニークで事業性のある不動産を企画し、建築家や建設会社、銀行などの関係者を自分のチームとして動かしながら不動産を創り出し、投資を実行する「プロデューサー型クリエイティブ大家」になることだ。

 

 

 

2章 ハーバードで学んだ不動産をデザインするとは

 

不動産をデザインするとは、内外装をデザインすることだけではない。

 

土地や建物から最大の不労所得と売却益の獲得をゴールとして、次の4項目において価値あるプラスアルファを創出したり、意思決定したりすることである。

 

1.ソフトのデザイン

賃借人の生活様式をイメージし、屋上から地下まで賃料を極大化できるよう建物の用途を徹底的に考え、ラフスケッチ化すること

 

2..ハードのデザイン

木造、鉄骨造などの構造形式と、縦長あるいは低層といった建物の形を担保評価や建設コストなどを考慮しながら選定すること

 

  • 資本および支出のデザイン

施工費や建設後の賃貸運営経費の圧縮を目指しつつ、高い収益を生み出す建物にする手法を探ること

 

  • あなただけのアルファ創造リスト

ハードとソフトの両面から自分なりの発想や視点で、不動産の付加価値を高めるアルファ要素を考案、追求すること

 

 

 

3章 ハーバードで学んだ不動産ファイナンスの極意

 

ハーバード式不動産ファイナンスの極意とは「プロ・フォルマ(資産運用の未来予想図)」を立てることだ。

 

プロ・フォルマとは一定期間不動産を所有し賃料収入を得つつ、その不動産を売却して売却益を得るまでの時間を軸とした、将来予測に基づく投資事業計画書のことである。

 

プロ・フォルマ策定で特に大切なのは「出口(売却)を常に想定すること」である。

 

不動産投資は家賃収入だけに頼るべきではない。

 

売却益でも儲けるダブルインカムを目論むプロ・フォルマこそ、銀行担当者の評価を大きく変える要諦だからだ。

 

銀行から融資を受ける場合の極意は

・物件概要

・レントロール(賃貸借物件の一覧表)

・建築費用見積もり

・与信情報(確定申告書)

・事業計画書(プロ・フォルマ)

以上5点をセットとして必ず用意し、最低でも5行に持ち込むことである。

 

そうした経験を通じて銀行との付き合い方もマスターし、できる限り有利な資付を引き出すことも資産最大化の秘訣である。

 

 

 

4章 ハーバードで学んだ不動産チームの重要性

 

ハーバードでは所属が異なる学生でチームを作り、それぞれの専門的視点をいかした分析を行ったり、アイデアを出しあったりして、素晴らしいアウトプットをめざすことを教育哲学としている。

 

このことを「分野別横断アプローチ」と言うが、平均値をこえるリターンを生み出す投資事業を実現する上で、分野別横断アプローチとチームワークが非常に重要になってくる。

 

不動産投資で切磋琢磨し合えるチームの仲間となるのは、オペレーティング・パートナー(外注先)だ。

 

不動産投資フローを3つのフェーズに分けた場合、それぞれのフェーズにおいて次のようなオペレーティング・パートナーが存在する。

 

  • 取得フェーズ

・不動産仲介業者

・銀行(融資)

・不動産企画/建設設計事務所

・施工会社

 

  • 運用フェーズ

・賃貸管理業者

・建物管理業者

・税理士

・銀行(金利交渉や借り換え)

 

  • 売却フェーズ

・不動産仲介業者

・銀行(顧客紹介)

 

これらオペレーティング・パートナーへの感謝や尊敬の念とともに、程よい緊張関係を中長期的に保ちながら、アルファを生み出せる最良のチーム作りを目指そう。

 

 

 

5章 ハーバードで学んだ勝ち残るために必要な景気サイクルと出口戦略

 

不動産投資で大きなアルファを生み出すために、意識してほしいことがある。

 

「10年の景気サイクル」と「5年の人の記憶サイクル」という2つのサイクルだ。

 

米国全体の住宅価格はおよそ10年ごとにピークと底を繰り返しており、日本の金融や不動産市場も米国の指標に引っ張られ、似たような動きをしている。

 

これが10年の景気サイクルである。

 

一方「5年の人の記憶サイクル」とは、不動産取引に関係する人々の記憶は5年程度しかもたないというもので、例えばリーマンショックの5年後には不動産市場は再燃した。

 

この2つのサイクルを意識すれば、不動産投資でアルファを生み出す戦略が見えてくる。

 

価格上昇期は売却にベター、景気のボトム(谷)の時期には不動産価格、建設価格ともに低減するため仕込みのベストシーズンになるといった具合だ。

 

その上で、サイクル変化に翻弄されない戦略を伝授するなら、「常に出口(売却)の準備をしておくこと」である。

 

そうすれば、時期が悪くとも平均を超える価格での売却が可能となる。

 

 

 

6章 ハーバードで学んだ再現性と成長性の戦略

 

不動産投資を物件取得から運用、売却までのフルコースで成功を収めたとしても、それが一度きりでは本当の意味の成功とは言えない。

 

何度も何度もそのフルコースを味わえること、つまり不動産投資は再現性と、再現を支えるための成長性も重要な要素となる。

 

不動産投資の再現性と成長性で大切なことと言えば、やはアルファを生み出す戦略である。

 

具体的には

・景気サイクルの波を活用する

・5年から10年サイクルで資産を入れ替えながら、バランスよく資産を拡大する

・ホールド物件と売却物件を交ぜてリスクバランスを取る

・住居用途だけでなく物流施設や複合施設なども考えてみる 

などがある。

 

その一方、ワンルームマンション一室投資は土地割合評価が低く、継続してローンが受けられないといったデメリットから資産拡大につながらない。

 

また新築木造アパート投資も、長期的には家賃が下落する上、担保評価の低さから継続融資が受けにくいといった理由から、再現性や成長性の点でNGと言える。

 

 

 

7章 ケーススタディから見えてくる不動産の新しい手法

 

・超狭小地超ペンシルビル

・国際学生寮

・託児所つき防音マンション

 

など、筆者が実際に行った不動産投資を題材として「Creating α」と「プロ・フォルマ」を披露している。

 

狭小地や旗竿地など、悪条件の土地や建物を筆者はどのように分析し、どのようなアルファを創造したのか。

 

ハーバード式不動産投資術の実践例を画像付きで学べるため、投資術の理解を深める上で必読の章といえる。

 

 

 

8章 Q&Aセッション

 

・不動産投資って面倒くさいのでは?

・持ち家VS賃貸はどっちがいいの?

・タワマンは資産になる?

・社会人3年目で不動産投資は始められる?定年間近あるいは女性でもできる?

 

など、これから投資を始めようという方々を主な対象として、不動産に対する11の質問に対し、ハーバードで学んだ筆者が自身の観点からわかりやすく回答している。

 

例えば「持ち家は収益を生まない負債を抱えるので、不動産投資を行うなら持つべきではない」とその答えは明快で、迷える読者にとって大きな示唆となるだろう