サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい

序章 「人生100年時代」は資本家になりなさい

 

サラリーマンはたとえ社長に登りつめたとしても、株主の意向に逆らえない。

 

対してオーナー社長であれば財産形成ができる上、自分が楽しんで働ける会社へと変えることもできる。

 

ただしサラリーマンがオーナー社長になるには、覚悟が必要だ。

 

必要な覚悟とはリスクを取れるか、実際に行動を起こせるかどうかだ。

 

覚悟が必要だと言っても「ゼロイチ起業」をする必要はない。

 

ゼロから事業を立ち上げて成功させる起業家は、普通の人間と住んでいる世界が異なる。

 

ゼロイチ起業など普通の人間には無理な話なのだ。

 

しかしあきらめる必要はない。

 

ある程度儲ける仕組みが整った会社を買えば良いのだ。

 

サラリーマンを引退した後、趣味ももたず、年金だけに頼って生活を切り詰めて暮らす、そんな下流老人になりたいと思うか。

 

自身の経験や専門知識をいかせる小さな会社をM&Aし、経営を引き継げばキャリアをいかせる。

 

資本家にもなれ、老後不安からも解放される。

 

会社を買って社長になるべきだ。

 

 

 

第1章 だから、起業はやめておきなさい

 

「起業」とは会社を作ることではない。

 

事業を作ることだ。

 

事業を通じてお金を得て会社を回すのは、並大抵のことではない。

 

会社は作った瞬間から出血が始まる。

 

お金が得られなければ自分の給与も出ない。

 

文字通り、食べてゆけなくなるのだ。

 

起業したら一刻も早く売上をあげて、事業を回すこと。

 

それがない限り何も始まらない。

 

しかも、必ず成功するとは限らない。

 

独立して失敗し、またサラリーマンへと舞い戻る人は大勢いる。

 

ゼロから1を生み出し、ようやくできた1を10へと育て上げることができる人は、ほんの一握りなのだ。

 

特にサラリーマンは「ゼロから新しいものを創出する」という経験がない。

 

新規事業立上げに携わったサラリーマンであってもそうだ。

 

会社の信用や資金力、組織に守られた状態での新規事業立上げと、土台が全くない中で何かを生み出す難しさは次元が異なる。

 

ベンチャーキャピタルの業界も「千三つ」が当てはまる。

 

1,000社の投資を行い、成功して上場までこぎ着ける会社は3社程度だ。

 

ソフトバンクの孫正義氏ですら起業は得意ではない。

 

つまりゼロイチ起業で成功できるのは、ほんの一握りの人だけなのだ。

 

 

 

第2章 飲食店経営に手を出したら、地獄が待っている

 

趣味の延長で飲食店経営を行えば地獄が待っている。

 

農産物直売所の雇われ社長として手腕を発揮した、A氏のケースを紹介しよう。

 

A氏は研究熱心で、野菜作りでは右に出る者がいないと言われたほどの人物だ。

 

そんなA氏は引退後を考え、パン屋を経営したいと考えた。

 

A氏は金融機関からの信頼も厚く、農業振興にもなるとの理由で特別な融資が実行された。

 

その結果、飲食店未経験だったにも関わらず、新築でしかも厨房が3つも備わったパン屋のオーナーとなった。

 

ところが立地の悪さなどから経営が立ち行かなくなり、A氏は自死を選んでしまったのだ。

 

外食産業の市場規模は約25兆円。

 

ところがトップ10の売上を合計しても、全体で10%程度のシェアしかない。

 

つまり外食産業は多くの新規プレイヤーが参入しては退出する、「レッドオーシャン」であることを示している。

 

また外食産業は箱ビジネスでもある。

 

立地に左右され、簡単には動かせない。

 

その地で成功できても、競合が多数進出してきたら客の奪い合いに陥ってしまう。

 

飲食は極めて成功確率が低い事業なのだ。

 

他に勝てるビジネスは、いくらでもある。

 

飲食店経営には手を出すべきではない。

 

 

 

第3章 中小企業を個人買収せよ 

 

「ゼロイチ起業」は過酷である。

 

会社が10年後も生き残っている割合は20%ないだろう。

 

しかし過酷なゼロイチ起業家を目指す必要はない。

 

「10年間生き抜いた企業」のオーナー社長になろうというのが、私からの提案だ。

 

10年が経過した会社なら一定の経営資産があり、経験を積んだ社員もいる。

 

それを土台にすべきだ。

 

特に大手企業で10年以上管理職を経験したサラリーマンなら、組織マネジメントのベテランと言える。

 

OJTを通じて受けてきた教育も大きな資産だ。

 

何十年も存続してきた大手企業は優れたビジネスモデルだけでなく、勝てるマネジメントモデルも持っている。

 

しかも時代変化を先取りしようと、日進月歩でそれらを進歩させてきたはずだ。

 

そんな環境で仕事やマネジメントを習得し、使いこなしてきたのである。

 

中小企業には大企業のような高度に洗練されたマネジメントモデルは、ほとんど導入されていない。

 

社長が財務諸表すら、理解できていない場合もある。

 

だから中小企業は効率や生産性で大企業に劣るのである。

 

しかしそれで中小企業が回っているのも事実だ。

 

大企業のベテラン管理職であれば、当たり前なのにできていないことを数多く発見できるだろう。

 

経営資源があり、商品も悪くないが赤字という中小企業を少し黒字にするのは、それほど難しくない。

 

会社の業績を向上させれば、大きな役員報酬も手にできる。

 

 

 

第4章 100万の中小企業が後継社長を探している!

 

会社を買う場合の3つの疑問について答えよう。

 

 

1.売られている会社は価値が低い会社ではないか?

 

日本の大企業数は全体のわずか、0.3%しかない。

 

99%以上が中小企業だ。

 

その内、廃業した中小企業の約半数は黒字廃業している。

 

主な理由は後継者問題に直面しているからだ。

 

従業員では後継は無理である。

 

仕事の腕が良くても、経営マネジメントなど知らないからだ。

 

 

2.優良な会社は高額ではないか?

 

中小企業の廃業が多い状況のため、現在は買手市場になっている。

 

特に高齢のオーナー社長には残された時間がない。

 

加えて会社の売却はうしろ向きに見られる傾向があるため、オープンに売り出されることは少ない。

 

買い手も少ないことから、割安で優良な会社を買うチャンスは十分ある。

 

 

3.落ち目の業界の会社では未来がないと思うが?

 

例えばフィルム現像サービスは姿を消したが、写真のニーズが消えた訳ではない。

 

社会環境の変化に併せて業態を変化させることは、どんな業界でも求められることだ。

 

会社という経営基盤があれば、時流に沿った市場へ資源を投下できる。

 

とは言え、経営状態が悪い「買ってはいけない会社」も存在する。

 

どの業種のどの企業を買えば良いか、目利きも重要だ。

 

 

 

第5章 「大廃業時代」はサラリーマンの大チャンス

 

会社買収の準備は定年を迎えてからではなく、40代から50代の間に進めるべきだ。

 

気力、体力が衰えてからでは元も子もない。

 

ではどうやって会社の売却情報を探せばよいか。

 

やはりネット検索が有効である。

 

近年、M&Aを手掛ける仲介会社が増加している。

 

そうした会社が運営するサイトには、多数の売り案件が匿名で公開されているのだ。

 

とは言え、会社を購入するには中身を見極める必要がある。

 

その方法として一般的なのがデューデリジェンスだ。

 

会社を財務や法務、労務など、さまざまな観点から公認会計士や弁護士といった専門家に瑕疵がないかを調査してもらうことを言う。

 

しかし中小企業の買収でそこまでコストをかけるのはもったいない。

 

そこでおすすめなのが、買収候補先企業で一定期間、役員として働くことだ。

 

その際、重大な瑕疵が発見されたら買収契約を破棄することを条件にしておくのだ。

 

社長と二人三脚で運営に取り組めば、会社の経営実態もつかめるし、デュ-デリジェンスも行える。

 

いきなり買収するより、従業員との信頼関係も築きやすい。

 

会社買収は国の要請により「無担保無保証」で買収資金を調達できるようになった。

 

会社を買う環境は整ってきた。

 

あなたのチャレンジが日本の優良な中小企業を救う。