日本人が絶対に知らないアメリカ不動産投資の話

第1章 労多くして魅力の少ない国内不動産への投資

 

日本の不動産は買った瞬間から中古になり、約2割も価格が下落する。

 

しかも物件価格の下がり方が残債の減り方より大きい.。

 

賃貸物件で入居者がいればまだ良い。

 

しかし2年ごとの契約更新時に、家賃を上げることはほぼ不可能である。

 

周辺に新築物件が建てば中古物件は相対的に競争力が落ちるためだ。

 

せめて現状維持はと願っても、周辺の同様な築年数の物件賃料が下がれば下げざるを得ない。

 

大家としては賃料が下がることより、空室の方がこわいからだ。

 

また、想定外な支出として管理会社へ支払う「広告料」がある。

 

競合が多い地域で特に際立った特徴がない物件は、広告料という”インセンティブ”を支払わなければ管理会社は客付けに力を入れてくれない。

 

しかも入居者退去後、次の入居者が決まるまで2~3カ月の間、賃料収入なしで広告料を支払い続ける必要がある。

 

加えて入居者が賃料を支払わない場合もある。

 

さらに日本社会は人口減少期に入っており、日本だけに資産を持っていることは危ういのだ。

 

 

 

第2章 日本人が知らない「アメリカの不動産事情」

 

アメリカの住宅は基本的に値上がりするもので、上がるからこそ買うと考えられている。

 

アメリカ人は新築か、中古かはあまり気にしない人が多数派である。

 

また、自宅は生活に必要な場所であるのと同時に、投資資産との認識が強い。

 

その理由は

 

・アメリカは連邦国家でそれぞれの州が独立した経済圏を確立している。同時に景気が悪くなることが少ない。

 

・先進国で唯一人口増加が続いている。

 

・平均年4%で不動産価格が上昇し続けている。

 

しかも現況は、バブルでも過剰融資でもない。

 

不良債権比率は低調だ。

 

融資を受けられない層は賃貸に住むため、賃貸需要も堅調である。

 

もう一つ堅調な理由は、流通する不動産の8割以上が中古であること。

 

新築は過剰供給されないことだ。

 

アメリカは区画規制が厳しく、簡単に住宅建築は認められない。

 

DIYで住宅を改築することも、アメリカ人にとって当たり前。

 

それも中古物件が下落しない理由にもなっている。

 

不動産情報の透明性、質・量が段違いに高いことも、市場の健全化や適正水準の維持につながっている。

 

 

 

第3章 価格の安定性、最強通貨ドル建て資産、節税効果・・・アメリカ不動産が投資家にもたらすメリット

 

アメリカの不動産投資で最も期待されているのが「節税効果」である。

 

その上で、インカムゲインもキャピタルゲインも日本の不動産投資を上回る。

 

 

■インカムゲイン

 

インカムゲインの実質利回りは4%程度で東京の投資案件と大差ない。

 

しかし全米平均空室率が6%の上、オープンハウスでは3%台である。

 

さらにアメリカの不動産は毎年家賃の値上げもできる。

 

 

■キャピタルゲイン

 

2000年と比較した場合、2017年の住宅価格はほぼ2倍に上昇している。

 

またアメリカのインフレ率は2.2%なので、それに従った場合でも6~7年後には約16%値上がりする。

 

特に戸建住宅なら堅調な需要があり、売却もしやすい。

 

 

■節税効果

 

アメリカ不動産投資の最大の魅力は「減価償却」による節税効果である。

 

なぜならアメリカの不動産価格の8割は建物、土地は2割が標準的だからだ。

 

例えば5千万円なら4千万円が建物なので、4年償却なら年間償却費は1,000万円計上できる。

 

一方、為替変動リスクや不動産市況リスクがあるが、これらはタイミングの調整である程度回避可能だ。

 

 

 

第4章 100棟のアメリカ不動産を買った日本人が教える、優良物件選びのポイント

 

アメリカ不動産投資の”キモ”は仕入れである。

 

しかし日本人にとってはこれが最も難しい。

 

アメリカは不動産情報の透明性や公開度が高い。

 

が、それらはオープンマーケットの物件だ。

 

日本のようなオフマーケット物件も2割程度ある。

 

ところが「訳あり」物件が多い。

 

高い目利きが問われるが、安く仕入れることが可能だ。

 

多くの候補物件から購入物件を絞るポイントは「自分なら投資物件として買いたいか」である。

 

自分が投資家として最も重視するのは「出口」だ。

 

出口を描きやすい物件は「アメリカ人の目」で見る必要がある。

 

例えばバスルーム一つの物件は日本人には当たり前だが、アメリカ人にとってはお風呂がない戸建同然なのだ。

 

地域選びもそうである。

 

マンハッタンやワイキキは物件価格が高すぎ、出口が見えにくい。

 

また、アメリカには瑕疵担保責任という考え方はない。

 

買手、売手双方が対等にそれぞれ調べて責任を負うことが基本である。

 

買手が行う調査は

 

・インスペクション:専門調査機関による建物の徹底調査

 

・タイトル調査:弁護士による物件の所有権、抵当権、借地権などの権利関係の調査

 

があり、購入価格の1%程度が費用の目安である。

 

特にオフマーケット物件は数が少なく、スピード勝負だ。

 

良質物件の確保は、スピードと精査のノウハウが問われるのだ。

 

 

 

第5章 アメリカ不動産における契約、管理、税務の常識

 

■契約

 

アメリカでは借主と貸主は対等な関係である。

 

家賃滞納が発生しても借主の権利が保護されることはない。

 

仮に家賃滞納が発生しても、訴訟から立退きまで、滞納被害は2カ月程度で済む。

 

入居者審査の要は「クレジットスコア」である。

 

クレジットの利用履歴は厳密で、入居者の信用を測る重要な指標だ。

 

高いクレジットスコアと空室率はトレードオフの関係にある。

 

 

■管理

 

管理会社選びのポイントは

 

・入居者との交渉を丁寧にやっていること

 

・トラブル発生時に迅速に対応できること

 

・物件状況の証拠をちゃんと画像などで保管していること

 

・日本語対応が可能なこと

 

である。

 

訴訟社会アメリカでも管理が良い物件は、入居者のクレームが少ない。

 

■税務

 

アメリカの不動産を購入した場合、日米両国での確定申告が必要になる。

 

アメリカでは家賃収入が発生するので、所得税はアメリカで納税する。

 

例えばテキサス州は州税Oなので、連邦税だけで良い。

 

またアメリカでは固定資産税の支払いも必要だが、日本よりやや高い。

 

 

 

第6章 国内金融機関は海外不動産融資に消極的!?資金調達のハードルをどう乗り越えるか

 

アメリカ不動産に抵当権を設定し、担保にした融資を実行できる国内銀行はほぼない。

 

アメリカの銀行も、クレジットスコアを持たなければ融資は不可能だ。

 

この常識を変えたのがアイビーネットである。

 

同社はアメリカ不動産を担保に抵当権を設定し、融資を実行するノンバンクだ。

 

同社が融資できる理由は、オープンハウス現地法人が物件仕入れ、販売、管理まで一貫て行っていることで物件モニタリングが可能だからだ。

 

しかも連帯保証人は原則不要。

 

返済方法も毎月利息弁済のみ。

 

融資終了時に物件を売却し、それで元金を返済する元金一括返済方式である。

 

そのためキャッシュフローも確保できる。

 

 

 

第7章 ケーススタディ:私がアメリカ不動産を買った理由

 

 

■A氏

 

私は金融機関勤務で、アメリカ不動産投資の減価償却メリットを知っていた。

 

日本の不動産を保有していたが先行きが厳しいと感じたので売却し、購入へ踏み切った。

 

アドバイスとしてはリスクを意識することだ。

 

アメリカにも表面利回り15%といった物件はあるが、治安の悪いエリアで投げ売りに近い物件がそうした利回りになりやすい。

 

詳細な確認が重要だ。

 

 

■B氏

 

ハワイのコンドミニアムの売買を行っていたが、高くなりすぎた。

 

銀行からオープンハウスを紹介してもらい、アメリカ不動産の減価償却メリットを知って興味を抱いた。

 

円よりドル資産になることも決め手の一つである。

 

アドバイスとしてはアメリカの景気動向に注意を払うこと。

 

もう一つは計画的に投資を行うことである。