地域貢献型シェアハウス投資
第1章 「不動産投資の新時代が始まっている」
かぼちゃの馬車事件で最も悪いのは、騙した業者だ。
しかし35年もの家賃収入継続を疑わなかった個人にも、問題がある。
楽して儲かる不動産投資などないと心得るべきだ。
不動産投資で問われる唯一のスキルとは、自分の頭で考え、電卓をたたき、現地に足を運ぶことだ。
これからの不動産投資で有望なジャンルは、実はシェアハウスである。
シェアハウスは2013年に3,000棟未満だったが、2019年には5,000棟を超えた。
日本は高齢者や外国人労働者など、住宅確保要配慮者が増加している。
政府はこの問題を解決するため、空き家のシェアハウス活用を支援しているのだ。
シェアハウス自体が少ないので、差別化もしやすい。
加えて各部屋に水回り施設が不要なため、初期投資も抑制できる。
デメリットは参考事例が少ないことだけだ。
デメリットをふまえてもシェアハウスは市場拡大が見込まれ、収益性も高い不動産投資なのだ。
第2章 「物件」の選び方
シェアハウス投資においてキャピタルゲインはおまけである。
インカムゲイン中心で事業計画を立てることが、肝要だ。
インカムゲインとして、利回りは15%以上になるようシミュレーションすることである。
ではどのような物件を選ぶかだが、担保価値が高い「エキチカボロ」が狙い目だ。
交渉の手間を嫌って駅から遠い物件で妥協しないことだ。
物件タイプではビギナーは戸建て、上級者は廃業旅館がおすすめである。
物件探しの基本はwebでのリサーチとなる。
アットホーム、スーモ、ライフルホームズなど、大手サイトは定番と言って良い。
その上で、全国850万件以上もある空き家を探す場合は自治体名と「空き家バンク」の組み合わせで検索すると良い。
購入という側面では「競売」や「任意売却」物件がお値打ちと言える。
ただし購入だけが選択肢ではない。
不動産所有者から物件を借り、その物件を「転貸」するという方法もある。
不動産所有者が承諾さえすれば、また貸しは可能だ。
初期投資額も抑制されるし、転貸なら宅建資格も不要だ。
第3章 「融資獲得」のノウハウ
物件が見つかってから銀行を探し、情報を収集するのでは納得ゆく交渉はできない。
自宅近くの銀行を片っ端からまわり、シェアハウス経営で融資の相談にのってもらえるか、事前に取材しておくことをすすめる。
もっとも、都銀は不動産投資初心者を相手にしない。
まずは日本政策金融公庫を利用するのがおすすめだ。
銀行が審査する際のポイントは、物件の担保評価と個人の属性である。
審査に落ちたなら、その原因を銀行側に尋ねて対策を練り、融資成功へと近づけよう。
同じ物件でも違う物件でも、支店長決済で融資がおりる範囲なら、何度やり直ししても大丈夫である。
支店長決算ラインを探っておくと良い。
仮に5千万円が上限なら、自己資金と合わせて4千9百万円の予算で購入できるよう売主と交渉しよう。
そうすればスムーズに審査に通る可能性が高まる。
また不動産投資を最初の一軒で終わらせる気がない場合は、複数展開を考えて一軒目を取得すべきだ。
一軒目が福岡、二軒目が札幌となると、銀行側は戦略がないと判断する。
第4章 「部屋割り」「デザイン」でさらに差別化を
「部屋割り」で初心者におすすめなのが、3階建の戸建て住宅である。
一階をリビングや水回りの共用施設とし、2階、3階を居室とトイレとする管理しやすい。
デザインコンセプトは、30歳前後の働く女性に好まれるデザインにすべきだ。
最初から作り込もうとせず、内見者の反応を見ながら、これでもかこれでもかと足してゆくのが良い。
女性に気に入ってもらえる空間なら、男性の募集も苦労しない。
しかし、室内空間のお洒落なデザインは自分だけで考えても難しい。
お洒落なカフェをまわり、室内インテリアや内装を参考にするのが良い。
「カフェ本」なども大いに参考になる。
また、シェアハウス運用面で必須なのが「生活ルール」である。
生活ルールがないシェアハウスは環境が荒れる。
特に気をつけることは清掃ルールで、清掃が行き届いていないと退去されてしまいやすい。
家電や家具はコスト面を考え、リサイクルショップを徹底活用すべきだ。
第5章 「集客」の極意
入居者募集前に行うべきことは、家賃設定だ。
女性の手取りが月25万円~30万円と想定すると、共益費と家賃の合計額は5万円以内にするのが望ましい。
また女性専用か、男性や外国人、入居者年齢の制限などもあらかじめ決めておく必要がある。
次に集客だが、基本的に不動産屋には頼らない。
自分で集客から管理まで行うべきだ。
まずはワードプレスなどを活用し、ホームページを立ち上げることだ。
その際のポイントは写真をできるだけたくさん掲載すること。
他にはコロナ対策やルールなどを詳しく紹介しておくと、安心感が高まる。
FacebookやLINEといったSNSの開設もプラスにはなる。
しかし一番効果が高いのはホームページだ。
最初の1年~2年はリスティング広告を行うと良い。
シェアハウス専門の検索サイトも並行して活用しておきたい。
次の二つの検索サイトがおすすめである。
シェアシェア
https://share-share.jp/
ひつじ不動産
https://www.hituji.jp/
体感では、物件見学にきた人の成約率は5割だ。
3割を下回るようであれば、賃料や物件に問題がないか見直すべきだ。
第6章 「管理」で入居者をつなぐ
物件管理は自己管理をおすすめする。
自分で運営することで、気付けるノウハウや教訓が数多くあるからだ。
管理会社に任せた場合、家賃回収や巡回は行ってくれるが客付けが弱い。
理由はシェアハウスについて説明できる人材がいないからだ。
従って、管理を委託した場合も集客はオーナーが行うことになる。
サラリーマンでも、自宅から1時間以内にある物件なら十分自己管理可能だ。
入居者管理の重要ポイントは
・入居者審査
・契約手続き
・ハウスルールの徹底
である。
特に重要なのが入居者審査だが、面接のような審査は抵抗もあるだろう。
そこで内見時にこちらからヒアリングを行うとともに、行動をチェックし、問題があれば適当な理由を付けて断るようにすると良い。
次に契約では「定期借家契約」を採用した方が良い。
問題がある入居者を退去させやすいからだ。
入居者が決まったら、特に1年目にはオーナーは積極的にイベントを開催しよう。
入居者の連帯感が生まれ、共同生活もうまくゆく。
第7章 シェアハウスによる地域貢献
私が不動産投資を行う理由は「地域貢献」である。
1円でも多く儲けようという考えでやってきた利益追求型のオーナーは、今後経営は厳しくなるだろう。
やはり売り手と買い手がともに満足し、社会貢献もできるのが良い商売と言える。
こうした視点は融資でもいかされる。
特に地銀や信金は地域貢献に重点を置いているからだ。
近年、コロナの影響でテレワークを行う企業が増えているが、シェアハウスなら共用スペースに電話ボックス型の防音室を設置し、利用してもらうことができる。
そうした設備には助成金も出るし、近隣のワンルームマンションとの差別化にもつながる。
利益を得たいなら、それだけの価値をお客様に提供すること。
そして利益を得たら、すべてを懐に入れず入居者や地元へ還元すること。
こうしたバランス感覚なども、今後の不動産経営者には求められるようになる。