99%失敗しない、不動産投資のはじめ方
序章 不透明な不動産投資業界で、成功するために
不動産投資はなぜ負のイメージがあるのか。
まず1993年頃におきたバブル崩壊があげられる。
これにより多くの不動産が担保価値割れを起こし、自己破産する富裕層が激増した。
続いてリーマンショックにより、サブプライムローンが不良債権化した。
それによりデベロッパーが多数倒産する。
その後日本はアベノミクスによる金融緩和で、お金余りの状況になった。
そこで銀行が目をつけたのが個人の不動産投資家であった。
長引く景気低迷と老後不安からサラリーマン投資家が激増し、不動産市場は活況を呈する。
しかし「かぼちゃの馬車」の破綻が社会問題化し、再び自殺者や破産者を招いた。
また同事件では銀行側の悪質な融資姿勢も問われ、これを契機に金融機関全般が不動産融資引き締めへと転じる。
この結果、優良投資家も買い増しが容易ではなくなった。
つまり不動産投資市場とは、市場が伸びている時期こそ注意しなければならないのだ。
そうした注意点を守らずに参入し、火傷を負う投資家が多いので負のイメージが解消しないのだ。
第1章 初心者に多い不動産投資7つの誤解
・誤解1 不動産投資は高年収でないと無理
不動産投資は年収が数千万の経営者より、安定した給与がある会社員や公務員のほうが融資を受けやすい。
・誤解2 物件は現金で購入すべき
全額自己資金より融資を受けたほうが、短期間で資金形成できる。
・誤解3 物件は短期売却すべき
安定した収入を目指すなら10年は売却しないほうが良い。
・誤解4 表面利回りが高い物件を購入すべき
表面利回りは、現在の不動産価値を瞬間的に切り取った目安に過ぎない。
甘い見通しではなく、経年劣化や空室リスクを踏まえたシビアな利回りの検討が必要。
・誤解5 自分が住みたいと思える物件が良い
自分が「住みたい街」と「投資に適した街」は全く異なるのだ。
・誤解6 不動産は不労所得が簡単に得られる
不動産投資はあくまで経営だ。
決して容易ではない。
・誤解7 不動産投資は金融商品だ
不動産投資は金融商品ではなく「不動産経営」という事業だ。
経営努力次第で価値を高めることができる。
第2章 成功させる! 不動産投資の考え方
不動産投資に成功する人の考え方には、次の4つの共通点がある。
・投資を長期スパンで考えている
成功する人は購入時に表面利回りだけでなく、購入後の経費、税金、さらには売却に至る利回りまで、将来像をしっかりと描いている。
・経営的視点を持っている
金融機関から融資を引き出すには、事業計画の中身が問われる。
つまり経営者としての知識や力量も問われることを、成功する投資家は心得ている。
・利回りよりも稼働率を重視する
利回りより大切なのは稼働率だ。
稼働率100%とは空室期間がなかったことを意味する。
毎月売上を上げるには、稼働率100%を目指すことが肝要だ。
・リスクを正しく把握している
不動産投資には空室、滞納、火災、震災、金利上昇など様々なリスクがある。
これらのリスクを正しく把握し、可能な限りそれらを低減させるための選択や手を打つことが重要だ。
例えば地価下落リスクなら、物件を分散化させるなどである。
投資家にとって最大のリスクとは「無知」であることだ。
第3章 失敗しない! 不動産投資のはじめ方
不動産投資に限らず、新規事業を立ち上げるなら事前準備がその後の成否を左右する。
準備で意外に見落とされがちなのが、ハザードマップの確認だ。
近年自然災害が増えているため、自治体が公表しているハザードマップを事前に閲覧しておくことをすすめる。
不動産投資の成否の分かれ目となるのが、不動産会社選びである。
特に重視すべき点は信頼できる営業マンの存在だ。
宅建やファイナンシャルプランナーといった資格を保有していると尚良い。
不動産会社選びが上手くいっても、肝心の物件選びに失敗すれば元も子もない。
物件選びのカギは「高い稼働率が見込めるか」である。
判断がつかない場合は、金融機関の判断基準を参考にすると良い。
その物件が融資に値するか、客観的な評価を下してくれる。
もっとも、稼働率は物件の良し悪しだけでは決まらない。
管理会社のスキルで稼働率は変わってくるので、管理会社選びも重要だ。
一つの目安が3千戸程度の物件を管理しているかどうかだ。
第4章 これは外せない! 優良物件の選び方の原則
不動産投資は
・区分所有
・一棟買い
の二つに大別できる。
区分所有は一棟買いより金銭的リスクは低くなる。
管理組合があるマンションなら、建物管理全体は安心感も高い。
しかし空室が生じたらその間収入ゼロとなる点が、大きなデメリットだ。
一棟買いは大規模修繕など、オーナーの裁量で決められる。
しかし金銭的リスクがとても大きい。
現状、一棟や中古の方が区分マンションや新築よりキャッシュフローが出やすいとは言い切れない。
不動産投資初心者なら、都内の駅から徒歩10分以内の新築区分マンションが実はオススメだ。
10分を超えると稼働率がガクンと下がる。
また徒歩圏が伸びて面積が広がると、その分競合も増えるからだ。
ウイズコロナを考えた場合、専有面積20㎡以下は選ぶべきではない。
テレワークが一般的となり、書斎などの仕事用スペースが求められだしたからだ。
どのような物件を選ぶにせよ、必ず現地に足を運ぶことだ。
自分の目で現況確認することが大切なのは、言うまでもない。
第5章 誰も教えてくれない! 成功する買付・融資の方法
買付時の指値ポイントはだいたい売出し価格の1割以内が良い。
2000万円なら、1800万円から1900万円ぐらいだ。
次に融資だが、近年は最低でも購入価格の10%程度の自己資金が条件となっている。
フルローンはできるに越したことはない。
しかし最初から多く借りることは、利子を含めてその分返済額も増えることになる。
自己資金はある程度入れておいた方が良い。
実情としては、物件の担保価格は価格の8割ぐらいが金融機関側の掛け目となる。
もし掛け目が60%~70%であれば、売値を疑った方が良い。
また、最初の融資はなるべくメガバンクや信託銀行など、低金利の金融機関を優先すべきだ。
次が地銀や信金、ノンバンクは最終手段である。
金融機関との交渉の決め手は、大家としての自分を信用してもらうことだ。
たった千円でもクレジットカード払いの滞納があれば、融資を受けにくくなってしまう。
金融機関から信用されるには、まず自分の信用情報をしっかりと把握しておくことである。
第6章 価値を下げない、マンション経営のポイント
不動産投資の成否は「満室をいかに維持するか」だと言える。
満室にするには
・家賃設定
・リフォーム
・広告料
・敷金、礼金
以上4項目を、周辺の競合物件情報も踏まえて上手くコントロールすることが求められる。
またリスク対策として、家賃保証制度や火災保険の利用は必須である。
滞納家賃を大家自ら回収することは至難の技だからだ。
もし一棟買いした場合には、管理費の観点から管理会社の価格は真剣に検討した方が良い。
出口戦略として不動産が高く売れるかどうかは、立地と購入後の管理によって大きく左右される。
適切な管理をしていれば、市場価格かそれ以上の金額で売却できる可能性は十分ある。
その上で、物件を高値で売るコツは「入居者がいる状態」で売却することだ。
ただし空室を避けるために家賃を下げ過ぎるのも良くない。
投資効率が下がるだけでなく、売却価格自体も数百万単位で下がる場合があるからだ。
管理をしっかり行い、できるだけ家賃は下げない取組みが大切である。