withコロナ・afterコロナ時代に求められる不動産投資 空き家再生賃貸

第1章 年収500万円のサラリーマンの資産形成とは

 

日本は、老後を普通に暮らすだけでも年金以外の自助努力で2,000万円が必要とされている。

 

それでも賃金が上昇していれば、将来に備えることもできる。

 

ところが四半世紀の賃金伸び率は年平均0.1%にすぎない。

 

さらにコロナ不況で国民生活が苦しい中、物価高騰も忍び寄ってきている。

 

では株式や投資信託で資産形成は可能なのか。

 

成長力がある株式や投資信託に投資をすれば、有望な資産形成の手段になり得る。

 

しかしその見極めは容易ではない。

 

価格変動リスクと隣合わせであることも、注意を払わなければならない。

 

近年ではFXや暗号資産が注目を集めている。

 

しかし、それらは多くの場合証拠金取引だ。

 

価格変動次第では預けていた資金を全て失い、追加的な支払いまで求められることもある。

 

やはり堅実的な投資手法は不動産投資だ。

 

500万円程度の自己資金も必要だし、一攫千金を目指す投資スタイルには向かない。

 

10年以上を見据え、長期で安定的な現金収入を得るには最良の方法と言える。

 

 

 

第2章 新時代の不動産投資『空き家再生賃貸』とは?

 

平成30年の調査結果で、日本の空き家数は約850万戸と過去最大の数になった。

 

1970年代から始まったマイホームブームは、郊外に多くのニュータウンを造成した。

 

ところが都市機能の大都市集中化と核家族化により父母が築いたマイホームには、戻らないようになった。

 

こうした背景から後継者のいないマイホームが増加したのだ。

 

空き家が増加すると防災、防犯、衛生、景観など社会的損失は多岐にわたる。

 

不審者による不法占拠や青少年の不健全な溜まり場にもなりやすい。

 

また空き家は倒壊のおそれもあり、人口流出をも招く。

 

地域経済疲弊の遠因ともなるのだ。

 

こうした空き家を不動産投資として活用できれば、国家的問題解決の一助にもなる。

 

空き家であれば仕入れ価格も低く、リフォームを施しても500万円程度の投資で行える。

 

年収500万円のサラリーマンでも取り組める不動産投資となるのだ。

 

ただし決して不労所得ではない。

 

物件探しから契約、リフォーム工事、物件管理とやるべきことは多々ある。

 

シンプルでわかりやすいが、楽と考えるべきではない。

 

 

 

第3章 空き家再生賃貸事業の物件探しとは?

 

空き家選定のポイントは次の5つである。

 

・入手可能な物件に絞ること

 

・致命的損傷がない物件を選ぶこと

 

・駐車スペース2台分以上確保できること

 

・適正家賃で期待利回りを確保できる物件であること

 

・リフォーム代が予算内に収まりそうな物件を選ぶこと

 

ではどのようなエリアの空き家を探せば良いのか。

 

エリア選びにも次のようなポイントがある。

 

・勤務先のビジネスセンターエリアから1時間半~2時間程度のエリア

 

・自然環境に恵まれたエリア

 

・戸建て賃貸募集広告が周辺で散見されるエリア

 

空き家不動産投資を行うなら、断然戸建てである。

 

なぜか、その理由は次のように整理される。

 

・子供やペット飼育をする場合、隣家と物理的に離れている方が良い

 

・郊外の賃貸一戸建ては希少性が高い

 

・比較的自由にリフォームできる

 

・一戸建てにはそれぞれ個性があり価格競争に陥りにくい

 

一方、次のような物件は避けるべきだ。

 

・取得コストが800万円超

 

・建物の基本構造に損傷がある物件

 

・駐車スペースが確保できない物件

 

・高速道路や幹線道路へのアクセスが悪い物件

 

 

第4章 リフォーム工事をする際のポイントとは

 

リフォーム工事の基本は、柱、壁、床など基本構造の安全性に支障がないことだ。

 

またトイレ、浴室、キッチンなどの水回りの整備も重要である。

 

できれば新調が望ましいが、従来のものを使用するなら徹底的なクリーニングが必要。

 

郊外の駐車場確保は死活問題と言って良い。

 

駐車場は一台分で庭があるという場合は、庭を縮小して駐車スペースを設けたい。

 

リフォーム業者選びもリフォームにおいて重要だ。

 

心当たりがなければ、物件を紹介してくれた不動産業者の紹介をもらうのも一手である。

 

紹介であれば、一見さんより真摯に対応してもらえるからだ。

 

リフォームはついつい欲が出てしまう。

 

その際、予算の範囲でどのようなことができるかアドバイスしてくれるのが信頼できるリフォーム業者だ。

 

また賃借人へ貸し出した際、初期トラブルがでる場合がある。

 

それらについても面倒を見てもらえるか、事前確認しておこう。

 

リフォームを依頼する場合はネットを活用し、多くのリフォーム事例や施工法、予算などを学んでおくと良い。

 

 

 

第5章 賃借人の募集はどうするのか?

 

賃借人募集の5ステップは次のとおりである。

 

・仲介を引き受けてくれる不動産事業者を探す

 

・募集広告用写真を撮影し業者へ提供する

 

・募集条件を詳細に業者と相談し、確定する

 

・賃貸募集仲介委託契約を締結し、募集を開始する

 

・SNSを活用し募集の自助努力を行う

 

賃借人の募集は不動産業者選びに大きく左右される。

 

空き家の物件エリアに強い不動産業者が望ましい。

 

知識が豊富な方が良いが、それ以上に長期的視野に立って支援してくれる不動産業者であることも大切だ。

 

一方、あなたの事業ニーズや方針、希望などをしっかり聞いてくれない業者は避けた方が良い。

 

また賃貸仲介は引き受けるが、管理業務は引き受けない業者もいる。

 

そうした業者も避けた方が良い。

 

では賃借人募集仲介の不動産業者を選ぶ際に留意すべき事項だが、一つは物件所在近くの不動産業者であること。

 

例えば物件近隣の一戸建て賃貸住宅物件の広告を掲載している不動産業者などが有力だ。

 

 

 

第6章 資金調達と税金のお話

 

空き家投資の場合、自己資金は500万円程度が望ましい。

 

リフォーム代や仲介手数料、税金、保険料等々で総額が400万~700万円ぐらい。

 

特に最初の1軒目はできるだけ自己資金で対応した方が良いからだ。

 

金融機関から融資を受け、レバレッジを効かせるやり方は避けた方が良い。

 

1物件なので賃借人の募集期間が長引けば賃貸料収入がない期間も伸びる。

 

リスク管理という意味でも、自己資金500万円は用意したい。

 

その上で、金融機関には「個人の資金運用」として相談することをすすめる。

 

不動産賃貸事業となると、融資審査も格段に難しくなるからだ。

 

何れにせよ、多額の融資を受けてスタートするのは避けた方が良い。

 

次に税金だが、家賃収入から経費を差し引いた額が不動産所得となる。

 

不動産所得は給与所得などと合算し、確定申告を行うことになる。

 

最初は弥生クラウドやFreeなどのクラウド会計を利用するとよいだろう。

 

簿記の知識がなくとも十分に経理を行うことができる。

 

 

 

第7章 成功事例集

 

千葉県いずみ市の漁港近くの空き家は、平屋建て2Kの物件であった。

 

基本構造はしっかりしていたが、和室の畳は古く傷んでいた。

 

そこで和室の畳はすべて撤去し、床にクッションフロアの床材を貼って洋室に改造した。

 

トイレは汲取り式を簡易水洗式・温水洗浄機付きに変更。

 

半年に一度は汲取り処置が必要だが水洗式に近い感覚で利用できる。

 

また空きスペースを活用し駐車場スペースを二台分確保したことが、賃借人募集の決め手となった。

 

 

もう一つの成功事例は、千葉県袖ヶ浦市の木造2階建て4LDKの物件だ。

 

この物件は東京湾アクアラインへのアクセスが良好だった。

 

また主要道路のロードサイドにも大型商業施設が立ち並び、再開発も進んでいる。

 

この物件は和室が3室もあったので、昭和レトロ風のテイストを重視した改修を行った。

 

一方庭はかなり手入れしてあったが、駐車場の確保を優先した。

 

3台分の駐車スペースを確保した。

 

この駐車スペースと昭和レトロ風の雰囲気が賃借人の心に刺さり、賃貸契約が実現した。