アフターコロナの賃貸不動産投資のススメ

第1章  不動産投資は「オワコン」なのか?

 

多くの人が不動産投資へ向く理由は時代背景にある。

 

人口減少に伴う経済の衰退だ。

 

平均賃金はG7で最下位。

 

終身雇用も過去の遺物となりつつある。

 

では令和の時代で不動産投資は「アリ」なのか。

 

結論から言えば大いにアリだ。

 

ただし不動産投資の原理原則を理解することが重要なのは、言うまでもない。

 

まずアフターコロナの金融情勢を読み解く必要がある。

 

コロナ融資で銀行の融資残高は2020年前半に大きく増加した。

 

しかし21年4月以降大幅に減少した。

 

一方不動産向け融資は右肩上がりで増え続けている。

 

不動産融資は厳しくなったと言われてきた。

 

しかし22年の賃貸不動産向け融資審査は、正常化してきている。

 

つまり不動産投資をはじめるタイミングとして悪くないのだ。

 

不動産投資に必要な技術は、段階によって異なってくる。

 

段階ごとに必要な不動産の技術とは

 

・買う技術

 

・持つ技術

 

・売る技術

 

の3つである。

 

それぞれにポイントや必要な知識があるので、それらを身に付けることが先決だ。

 

また初心者が絶対に手を出してはいけない投資案件がある。

 

・区分所有ワンルーム

 

・築古の高利回り物件

 

・数十年一括借上げの新築アパート

 

などだ。

 

それらの物件は、不動産販売業者が仕掛ける戦略が巧妙だからだ。

 

大儲けできると思わせたり、物件購入が社会貢献になると思わせたりする。

 

そうした術中にはまらないためにも、「買う技術」「持つ技術」「売る技術」が必要なのだ。

 

 

 

第2章 まずは中古の賃貸不動産を買いなさい!

 

まず知っておきたいのが新築物件と中古物件の相違点だ。

 

第一に管理の違いがある。

 

新築物件の場合、管理にそう手間がかからない。

 

特に最初の数年はオーナー自ら管理しても手間は生じないだろう。

 

しかし中古が数年経過するとクレームが増大する。

 

管理は賃貸管理会社へ任せるべきだ。

 

それらに伴い「必要経費」も異なってくる。

 

更に融資を受けられる期間となる、法定耐用年数も大きな違いだ。

 

融資を受けられる期間は、月々の融資返済額を左右する。

 

融資返済額は購入予定物件の利回りに影響を与える。

 

例えば表面利回り4%の中古物件で、残存耐用年数が30年程度とする。

 

元金の返済だけで3%程度が飛ぶだろう。

 

ここに諸経費が加わるとたちまち収支がマイナスになることは、容易に想像できる。

 

不動産投資は融資がものを言う。

 

返済期間と表面利回りを比較すると、投資に値するか検討がつく。

 

不動産価格がそもそも適切なのか検討することも大切だ。

 

まず確認すべきは国税庁の路線価図である。

 

この路線価評価は、実勢の約8割程度と言われている。

 

次に見ておきたいのが登記簿謄本だ。

 

抵当権の債権額などを見れば、いくらで融資を受けて購入された物件かがわかる。

 

中古物件は維持か売却かの出口を考えておくことも重要だ。

 

中古はキャッシュフローがマイナスになってきたら、売却を検討すべきタイミングと言える。

 

また、不動産向け融資情勢にもアンテナを張っておくべき。

 

融資情勢により売り易さは変わるものだ。

 

 

 

第3章 新築投資こそ不動産投資の神髄である!

 

新築不動産投資のメリットは3つある。

 

・住宅性能表示における劣化対策等級

 

・ローン元金を数ヶ月据え置きしてくれる可能性

 

・購入後の5年間はゴールデンタイム

 

購入後5年間は修繕費は殆かからず、入居者もあまり退去しない。

 

しかも5年以内の売却は、税率が高い短期譲渡の確定申告が必要となる。

 

よって築5年以内の物件は市場にあまり出ない。

 

これが新築の強みだ。

 

新築物件の資金調達だが、やはり自己資金が多めの方が融資はおりやすい。

 

その上で3割程度自己資金があるなら、2割自己資金、8割融資の事業計画を立てよう。

 

融資割合1割ダウンでも対応できるからだ。

 

物件購入前に劣化等級対策の確認も忘れてはいけない。

 

等級3であれば融資で有利になる。

 

次に新築物件の売却だが、これは中古物件の買い方の裏返しと言える。

 

不動産の購入は銀行融資に左右される。

 

また残り耐用年数が長いほど返済期間が長くなりやすく、キャッシュフローを黒字化させやすい。

 

売却時点での空室率も買手心理に影響する。

 

つまり新築物件の「売る技術」は中古物件の「買う技術」の応用と言える。

 

売却したら終わりでないことも留意しておこう。

 

不動産の譲渡所得は個人だと分離課税となり、損益通算はできない。

 

もし5年以内の譲渡なら短期譲渡で税率約40%、それを超える長期譲渡なら約20%。

 

あと数ヶ月で5年を超えるなら取引を遅らせると言った戦略も重要だ。

 

 

 

第4章 あなたの不動産融資を成功に導く3つの技術!

 

買う技術だが、やはり自己資金は大切なので2割程度は用意しておこう。

 

その上で9割融資をめざし、残り1割は運転資金として手元に置いておく。

 

そうすれば購入後に不測の事態が生じても、対応できる。

 

キャッシュフローにゆとりを持たすため、返済期間も長めに交渉することが大切だ。

 

一つの銀行で断られたところで、気にする必要はない。

 

積極的な銀行を探し、再トライしよう。

 

次に持つ技術だが、この期間の立ち回り方が不動産投資を大きく左右する。

 

最も大切なことは良い不動産管理会社と組むことだ。

 

具体的には入居者募集に強く、日常管理についてまめに報告や提案を行ってくれるかどうかで判断したい。

 

ただし良い不動産会社と組むには、オーナーとしての熱意や適度なコミュニケーションが不可欠である。

 

不動産会社はこちらの対応次第で、態度が変わってくるからだ。

 

3つ目の売る技術だが、この技術は「買う技術」の応用でもある。

 

売却を考えるなら、買手が買いやすい、または買える条件を整えることが重要だ。

 

また売る技術で大切なことは、不動産の簿価と借入金残高を確認しておくことである。

 

売却時にどれくらいキャッシュが入るかの目安にできる。

 

売る技術、即ち売却は持続可能な不動産投資家にとって登竜門とも言える。

 

 

売却により手元に資金をどれだけ残せたかで、次の新しい不動産投資へと進んでいける。

 

売却を戦略的にできるかどうかは、その先の不動産投資の明暗を分けるからだ。

 

 

 

第5章 資産管理法人を作ろう!

 

不動産投資を持続化させるためには、資産管理法人を活用することをすすめる。

 

資産管理法人の場合、不動産ビジネスの損益だけで税率が判定される。

 

個人だと所得税と住民税合わせて55%に対し、法人税率は35%だ。

 

法人なら経費として認められる範囲も広がる。

 

さらに個人だと物件売却益は分離課税となり、他の不動産所得が赤字でも差し引けない。

 

法人なら可能だ。

 

短期譲渡が長期譲渡の約2倍の税率になるのも、個人である。

 

法人ならいつ売却しても税率は変わらない。

 

法人だと権利関係をカスタマイズできる点もメリットだ。

 

法人のオーナーがあなたでも、代表者は自分以外の家族でも良い。

 

家族に給与を払えば所得税をミニマム化できる。

 

また、社会的信用が高まるのも法人設立のメリットと言える。

 

法人化は相続という点でも強みがある。

 

被相続人が多いと不動産の売却一つをとっても、コンセンサスを得にくい。

 

その点で資産管理会社であれば相続すべき財産は株式となる。

 

株式なら平等に分配でき、問題が生じにくい。

 

さらに法人が不動産を所有しているなら、登記の移転手続きの必要もない。

 

このように資産管理法人は不動産の相続を意識した場合でも、多々メリットがあるのだ。

 

不動産を含む相続は、非常にややこしい。

 

相続を効果的に、スムーズに進めていくためにも資産管理法人の活用を考えて頂きたい。