ハワイ不動産 本気で学びたい人の教科書 2021年版

第1章  知っておくと役立つハワイ基本情報

 

国勢調査によるハワイの人口は2010年比較で、7%増加している。

 

2016年で142万だった人口は2025年に151万になると予測されている。

 

しかも若年層含めて増加中だ。

 

そのためハワイは住宅が不足しており、長期的に見ても需要は高いと見られる。

 

次の図は、オアフ島の一戸建ておよびコンドミニアムの価格推移表である。

(緑:戸建て イエロー:コンドミニアム)

 

 

リーマンショックの影響も少なく、価格は右肩上がりで推移してきた。

 

ちなみに過去20年の推移を比較した場合、次のような数値になる。

 

・日本:約6%上昇

 

・米国全体:約111%上昇

 

・ハワイオアフ島:約215%上昇

 

ハワイの不動産は一体誰が購入しているのか。

 

実は98%がアメリカ在住者で、海外在住の投資家はわずか2%だ。

 

2%の内訳では1位が日本で、全体の48.8%を占めている。

 

続いてカナダ、シンガポールだ。

 

 

 

第2章 そうなっているのか! 不動産業界情報

 

ハワイをはじめ米国で不動産セールスを行う人材は、不動産会社に雇用された社員ではない。

 

個人事業主のライセンス制で、ハワイには21年2月現在約1万7千人のエージェントが存在する。

 

不動産エージェントは自分の専門以外は一切関わろうとしない。

 

不動産の売買契約書も、顧客自身が顧問弁護士に依頼し、チェックしてもらうのが正式なやり方だ。

 

不動産の買主も売主も、エージェントと契約し、エージェントのにわか雇主となるのが一般的である。

 

ハワイ州が発行する不動産ライセンスの種類は

 

・ブローカーライセンス

 

・セールスパーソンライセンス

 

の二種類のみだ。

 

ブローカーライセンスは一定の実務経験が求められる。

 

取得できたら、独立して不動産会社を始めることもできる。

 

また、ハワイの不動産詳細情報を知る場合は

 

・MLS(全米をカバー)

 

・ホノルル不動産協会

 

のデータベースが有効である。

 

Zillowなどはハワイの実情を反映できておらず、オススメしない。

 

 

 

第3章 おさえておきたい基礎情報

 

ハワイではCoop(コープ)と言って、コンドミニアムの組合が企業のような形態をとっている場合がある。

 

Coopだと新規でコンドミニアムを購入する際、組合の許可が必要なので注意が必要だ。

 

ハワイでの不動産売買手続きではエスクロー会社の利用も不可欠と言える。

 

不動産買付時に、エスクロー会社を契約書へ記載しなければならないからだ。

 

手付金や購入代金はエスクロー会社が預かり保全。

 

契約が整った後、売主にお金を支払ってくれる仕組みだ。

 

エスクロー会社は登記完了までサポートしてくれる。

 

ただしエスクロー会社を動かすには、買主、売主両方が署名した指示書が必要だ。

 

また、タイトル会社についても理解が必要だ。

 

タイトル会社とは、不動産の権利にまつわる詳細をレポートしてくれたり、物件の所有権を証明するタイトル保険を発行してくれたりする会社のことだ。

 

タイトル保険は加入義務はないが、必ず入っておくべき保険と言える。

 

 

 

第4章 日本とハワイの売買取引の主な違い

 

日本とハワイの不動産取引の決定的な違いは買付証明書を用意し、売主側へ提示する点だ。

 

次に買主が購入を決めたら売買契約書を提出する。

 

売買契約書は決して最後ではない。

 

売買契約書はオファーと言い、売主はそれを見て変更点があればカウンターオファーを提示する。

 

それで合意ができたら契約が動き出す。

 

但し買主にはペナルティなしで取引を解約できる、デューデリジェンス期間がある。

 

デューデリジェンスとは売り物件に瑕疵がないか、徹底的に調査することだ。

 

ハワイの不動産購入時には、日本人でもハワイの銀行でローンを組むことが可能である。

 

ただし融資実行のタイミングや登記手続き、決済のタイミングが日本とは異なるので事前確認が重要だ。

 

尚日本で公証手続きを行う場合、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪にある「国際公証役場」を利用すると一回で済む。

 

 

 

第5章 ハワイの不動産を購入する

 

ハワイで不動産を買う場合

 

・弁護士、税理士、保険担当者、賃貸管理会社、不動産エージェントと専門家チームを作っておくこと

 

・銀行口座を開設しておくこと

 

この二点を先行して行っておくと安心である。

 

不動産をオファーする前に重要なことは、不動産エージェントを通じて物件や売主について探ってもらうことだ。

 

また日本と異なり、ハワイには「瑕疵担保責任」はない。

 

買主が瑕疵がないかをしっかり調べること、つまりでデューデリジェンスの実施がとても重要になる。

 

デューデリジェンスと並行して登記手続きの準備も進めておいた方が良い。

 

無事登記が完了したら、売主、買主双方に登記で必要とされた書類のコピーが送られてくる。

 

登記してからしばらくすると、ハワイ州登記所発行の譲渡証明書やタイトル保険の証明書なども送られてくる。

 

万一紛失してもエージェントも保管しているから大丈夫だが、大切に保存しておこう。

 

 

 

第6章 ハワイで購入した不動産を賃貸する際の注意点

 

ハワイには日本と違って礼金はない。

 

一方敷金に該当するのが「セキュリティ-・デポジット」だ。

 

ただし修理費や清掃費を差し引く場合は、賃借人の事前了承がないとトラブルになりやすい。

 

不動産物件を長期で賃貸に出す場合、賃貸管理専門会社の利用をすすめる。

 

探す上でのポイントは

 

・物件所有エリアを拠点にしていること

 

・コミュニケーションがスムーズ

 

以上二点があげられる。

 

その上で、可能なら賃貸管理会社を利用している不動産オーナーの話を聞くことだ。

 

賃貸管理手数料は長期だと、賃貸料の10%が目安となる。

 

また賃貸収入を得るには、連邦政府の納税者番号取得が必要だ。

 

これに手間取ると、賃貸管理会社から賃料の3割を徴収される場合がある。

 

日本と異なり、賃貸管理会社はこまめに連絡してくれない。

 

こちらから働きかけて、賃貸物件の状況を把握することが大切だ。

 

 

 

第7章 ハワイの不動産を売却する

 

ハワイに所有する不動産を売却する場合、やっておくべきことは

 

・タイトルレポートの取り寄せと内容チェック

(前オーナーの抵当権がちゃんと抹消されているか等)

 

・プレリスティング・インスペクション

(点検の専門家による物件の点検、調査)

 

以上のニ点である。

 

また、物件の魅力を高めるために物件の清掃や補修なども行っておいた方が良い。

 

現在の市場だと、平均2週間以内で契約が成立している。

 

オファーを受けとったら、売主も登記に向けての各種契約の解除手続きなどを並行して行う。

 

もし売主であるあなたが非居住者なら、連邦政府とハワイ州へ源泉徴収税を支払わなければならない。

 

ただし、売却益がでない場合、申告手続きを行うことでハワイ州への支払いは免除される。

 

登記手続きが間利用しても保険料や管理費の払い戻し、税金還付などもある。

 

手続き完了後も手を抜かず、最終チェックを怠らないことだ。

 

 

 

第8章 その他知っておくと便利な情報

 

新築コンドミニアムやタウンハウスを購入する場合、販売対象戸数の50%を自宅用購入者に振分ける必要がある。

 

販売後30日間は投資目的での購入はできない。

 

この期間を過ぎると、誰でも購入できるようになる。

 

また、ハワイの物件で日本人に人気が高いのがホテルコンドミニアムだ。

 

値段が手頃で自分でも使用できる上、ホテルの一室として収入を得ることもできるからだ。

 

ホテルコンドミニアムは、ホテル運営会社の力が強い物件の方がクオリティが高い傾向にある。

 

自分で管理したい場合だと、ホテル管理会社の力が強いと管理しにくくなる。

 

 

ホテルコンドミニアムは、スタジオタイプ(ワンルーム)の小さめの部屋が購入価格を抑制でき、おすすめだ。

 

もし自己利用の別荘とする場合は、不在管理をしてくれる管理会社を探し、管理を委託した方が安心である。