不動産鑑定士がすすめる 40 歳から始める不動産投資入門

第1章  不動産投資の基礎

 

不動産投資には二種類の利益がある。

 

一つは購入と売却時の差額が利益となるキャピタルゲイン。

 

もう一つが不動産を所有することで得られるインカムゲイン。

 

毎月の賃貸料が収入となる。

 

また投資対象となる不動産物件も、投資額でおよその分類ができる。

 

少額投資であればワンルームマンション。

 

ミドルの投資なら中古の一戸建てや小さい木造アパートの一棟買い。

 

高額投資であればマンションの一棟買いがある。

 

不動産投資の長所は、株式やFXのように日々の値動きに翻弄されないことだ。

 

よほどのことがない限り、安定収入を得られる。

 

ただし不動産投資で成功するには、物件購入における適切な判断が必要だ。

 

仲介業者の話を鵜呑みにするようではだめである。

 

背負った借金は誰も助けてくれない。

 

自分の目で判断できる知識と行動力、分析力を身に付けることが大切である。

 

 

 

第2章 不動産投資が堅実な収入になる理由

 

不動産投資はなぜ堅実なのか。

 

一つは自分の家族や孫に資産を残せることだ。

 

少額投資から始められ、万が一の時に資産として残せる。

 

こんなに良い投資方法は他にない。

 

また、株式やFXなら翌日ゼロがあり得るが、不動産はほぼ皆無である。

 

つまりそれだけ安全な資産と言えるのだ。

 

もう一つ忘れてはならないのは「節税」である。

 

不動産投資は収入が増えても、逆に節税対策になる場合がある。

 

なぜなら借金を収入に含めることができるからだ。

 

また借金は相続時に相続税を低減する効果もある。

 

ゼロにならない資産として、節税対策として、不動産投資はおすすめである。

 

 

 

第3章 リスクを知って対策を立てる / 第4章 不動産投資で成功するために

 

不動産投資には次のようなリスクがある。

 

・不動産ローンリスク

 

不動産は多くの場合、ローンを組んで購入する。

 

毎月の収入を返済額が下回れば、他の収入からその分を返済に回す必要が生じる。

 

さらに借り手がつかず空室になれば、借金だけ返す状況になる。

 

・自然災害リスク

 

自然災害だけはいつ、何がどんな状況で発生するかはわからない。

 

しかし発生を前提にした対策は打てる。

 

例えば耐震補強をすれば地震がきても、建物の倒壊は回避可能だ。

 

また不動産投資を行う前に、浸水被害や土砂崩れの有無を調べておくことも重要である。

 

保険加入も対策として必要だ。

 

・空室リスク

 

空室を避けるには、家賃を見直すことだ。

 

また一定期間にごとに補修や内装リフォームなどを行うことも大切である。

 

 

不動産投資で成功するにはリスクだけでなく、失敗事例も知っておくべきだ。

 

例えば工場近くのアパートを購入し、しばらくは工場労働者が借りてくれていた。

 

しかしその工場が倒産した途端、住人ゼロとなった。

 

他には高利回りに目を奪われて投資したが、その場所は治安が悪く、客付けがうまくいかなったケースもある。

 

高利回りには高利回りの理由がある。

 

その理由を知ることが大切だ。

 

 

 

第5章 利回りって何? 不動産投資にかかる費用とは

 

不動産の利回りとして、次の三種類をまず理解しよう。

 

・想定利回り

 

満室時即ち最大家賃収入を購入価格で割り、100をかけた値。

 

・表利回り

 

想定される家賃収入を購入価格で割り、100をかけた値。

 

・実質利回り

 

最大家賃収入から維持管理費を引いた値を求める。

 

次に購入価格と諸経費を合算した値でそれを割り、100をかけた値。

 

 

では不動産物件を購入する場合、どんな費用がかかるのか。

 

大まかな初期費用としては

 

・物件購入費

 

・物件にかかる税金、保険料

 

・仲介業者に支払う費用

 

以上三つがあるが、あくまで初期にかかる費用だ。

 

不動産は徐々に劣化してゆく。

 

そのメンテナンス費用が購入後、定期的に発生する。

 

また税金や保険料も毎年かかってくる。

 

更に管理を業者へ委託すれば、管理費も経費として毎月発生する。

 

ただしこうした費用は、ほぼ経費として計上できる。

 

その結果、節税対策にもなるので経費の把握と計上はしっかり行おう。

 

 

 

第6章 不動産投資に必要なもの

 

不動産投資を始めるには、物件を見つけることがスタートとなる。

 

ところが物件購入は最初で最大の難関と言って良い。

 

これさえしっかりできれば、不動産投資を制したも同然だ。

 

物件選びで一番大切なのは、物件とその周辺環境である。

 

自分がその周辺環境で生活したいかを考えてみると良い。

 

例えば電車やバスの利便性は通勤、通学で重要視される。

 

徒歩圏内に買物ができる施設や、病院があるかも大切だ。

 

物件そのものに目を向けるのは当然である。

 

築年数、室内設備、耐震性などをしっかりとチェックしよう。

 

物件探しの基本は大きく二つある。

 

まずインターネットだが、投資物件を比較対象する場合に便利だ。

 

またこの時に良さそうな仲介事業者へ目を付けておくようにしよう。

 

次に直接不動産会社を訪問すること。

 

仲介物件の他、不動産会社が所有しており直接販売している物件もある。

 

後者は仲介手数料が無料だ。

 

 

 

第7章 少額からがおすすめの理由 / 第8章 不動産をビジネス展開

 

不動産投資のスタートは少額物件をおすすめする。

 

高額案件だとそれだけ借金も増える。

 

それはリスクの増大を意味するからだ。

 

まずは分譲マンションの一室購入などからスタートしよう。

 

また良い物件を探す上で欠かせないのが、いい不動産会社を見つけることだ。

 

いい不動産会社と良好な関係になれば、良い物件を出回る前に紹介してもらえるようにもなる。

 

物件が少額であれ、高額であれ、不動産物件を所有すればビジネスはスタートする。

 

スタートしたらゴールも考えることが大切だが、ゴールとなるのは物件の売却だ。

 

物件を高価格で売却する上で重要なのが不動産会社選びである。

 

売却物件査定は不動産会社によって異なるし、売却プランも異なる。

 

不動産は一応個人間でも売買はできる。

 

しかし契約書作成や物件査定など、すべて自分で行わなければならない。

 

やはり売却のタイミングでも不動産会社選びがとても重要なのだ。

 

不動産会社選びには、1,600社が登録している「イエウール」がおすすめのサイトの一つだ。

 

 

 

第9章 不動産投資を不動産ビジネスに

 

不動産投資は投資というより「ビジネス」である。

 

どう購入し、どう運営し、どう売却するか。

 

経営計画を立てて取り組むことが基本となってくる。

 

不動産投資をビジネスとして成功させるためのポイントを紹介しよう。

 

一つは周辺環境だ。

 

すでに述べたとおり、物件周辺の生活の利便性はとても重要。

 

しかし長期的な運用を行うなら、その地域の将来計画なども把握しておくことが大切だ。

 

ビジネスとして成功させる上で、専門知識を持ったプロを味方につけることも重要。

 

中立的立場から、的確なアドバイスを積極的にもらうべきだ。

 

また不動産投資では、金利負担も軽視できない。

 

複数の金融機関に相談し、できるだけ良い条件を出してくれる金融機関を探し出そう。

 

物件管理では、管理会社選びも大切になる。

 

自分でやっても良いが、物理的な限界が生じる。

 

管理委託費を支払っても、管理会社へ委託することをすすめる。

 

 

 

第10章 不動産ビジネスを個人から法人化へ  

 

不動産投資は個人事業として行っても良いが、法人化するという手もある。

 

ただし法人化にはメリットだけではなくデメリットもある。

 

両者を理解した上で判断することが大切だ。

 

法人化した場合、法人税など経費項目は増えてしまう。

 

しかし個人では収入に応じて課税されるが、法人には上限がある。

 

節税を考えるなら法人化すべきだ。

 

しかも法人化すれば、赤字の繰り越しを9年間できる。

 

個人だと3年だ。

 

一方、法人化のデメリットしては法人設立費用がかかることがあげられる。

 

登録手続きも煩雑だ。

 

また個人なら確定申告で最大65万円の控除があるが、法人にはそれがない。

 

まだ不動産収入が少ない頃は、節税上不利になる場合もある。

 

では法人化のタイミングはどう判断すれば良いのか。

 

それは不動産ビジネスでの収入が、右肩上がりで増えることが見込める場合だ。

 

不動産ビジネスに自信がもてるようになったら、法人化しさらに事業規模を拡大しよう。