立地は商売の神様Ⅱ

第1部

第1章 2万店が教えてくれた儲かる物件の選定5か条

 

その1:誰が経営しても事業にあった場所では売れ、事業にあっていない場所では売れない

 

コンビニが売上予測精度が高い理由は「誰に・何を売る」が明確なことだ。

 

そのため、「どこで」の客観的評価基準も明確になるためである。

 

 

その2:坪単価と売上は比例しない

 

3,000店舗を検証した結果、賃料と売上に相関関係はないことが判明している。

 

賃料が高い=売れるとは限らない。

 

 

その3:空きテナントから良い出店場所は見つからない

 

売れ過ぎで手狭になって移転するのは稀。

 

店舗が空く最大の理由は商売が上手くいかず閉店するのがほとんどだ。

 

 

その4:現地確認が一番大事

 

近隣住民が利用する駅や商店街、車の通行量など、立地判定で現地を確認しないと分からない。

 

 

その5:他店舗展開成功の鍵はドミナント

 

10店舗ぐらいは、経営者が一日で訪問できる位置関係での店舗展開が望ましい。

 

 

 

第1部

第2章 物件確保のポイント

 

家賃だけで借主を選ぶ貸主は、借主をATMのように見る傾向がある。

 

そのような貸主の物件を借りても、開店後の様々な変更や対策などは上手くいかない。

 

ではどうすべきか。

 

事業説明や企業理念を最初に説明し、その話へ真摯に事業を聞いてくれる貸主かどうかで判断することだ。

 

そのような貸主なら運命共同体になれる。

 

ただそうした貸主を探すのは一苦労だ。

 

不動産屋の多くは住居メインで、商業店舗仲介は苦手としている場合が多い。

 

お店がうまくいかないと家賃未払いリスクが生じやすいこと、住居と異なり、建物仕様に細かな条件が多いためだ。

 

裏を返せば、商業店舗仲介は多くの不動産屋が避けたがるのでブルーオーシャンと言える。

 

そのためにも、不動産屋は立地選定法を学ぶべきだ。

 

 

 

第1部

第3章 顧客4分類法とは

 

店舗開発のプロと、世間が言う「良い立地」は異なる。

 

店舗で良い場所とは世間で人気の高い街やエリアではない。

 

利益がしっかり出る場所のことだ。

 

それを踏まえた上で、顧客4分類法を理解することが大切である。

 

顧客の4分類とは

 

・候補地の最寄りに住む「住民」

 

・候補地の最寄りで働く「就業者」

 

・候補地前を通る「車」

 

・候補地前を歩く「歩行者」

 

この当たり前の分類を正しく理解できれば、儲かる店舗物件の選定が可能になる。

 

例えば次の場合を顧客の立場で考えてみて欲しい。

 

①家か仕事場からコンビニへ行く場合

②駅から映画館に向かう途中でコンビニによる場合

 

①と②ではコンビニで購入する商品が異なるはずだ。

 

食べ物であれば、①ならお弁当を購入する場合がある。

 

しかし②ならお弁当は購入しない。

 

おにぎりやサンドイッチを購入する。

 

また駐車場、駐輪場がなければ来店手段は徒歩のみとなる。

 

そうなれば徒歩圏で5分以内程度の住民が主要顧客となる。

 

ゴルフ場へ車で向かう顧客などは、主要顧客とならない。

 

いくら世間から人気の高いエリアであっても、こうした顧客分類に基づいた分析がなければ成功はおぼつかないのだ。

 

ではどのように4つの顧客を具体的に見極めれば良いか。

 

次のマトリックスを参考にして欲しい。(書籍より画像引用)

 

 

 

第1部

第4章 顧客4分類法活用による出店事例

 

静岡東部の別荘地に出店した事例だ。

 

施設内の売店だったが赤字転落していた。

 

しかも別荘地ゆえ居住人口は1,800人しかおらず、高齢化率も50%超、外部からの流入なしという悪条件だった。

 

ところがそのエリアに出店したコンビニは、5年経過しても黒字を維持している。

 

理由は少ない顧客ニーズをしっかり取込み、品揃えを工夫することで、来店頻度を高めることに成功したからだ。

 

逆に、好立地と思えた場所での失敗事例もある。

 

物件背後には住宅地が密集し、歩行者も大変多い通り沿い。

 

ところが歩行者数の自転車比率が50%を超えていた。

 

店舗半径1km以内に3駅もあり、殆どが駅目的の通過自転車だったのだ。

 

そこで通行者ではなく、近隣住民を主要ターゲットした戦略転換を果たしことで赤字を脱却し繁盛店にできた。

 

この事例からわかるとおり、単純な通行量の多さで判断してはならない。

 

自転車利用の「質」にも目を向けることが大切だ。

 

 

 

第2部

第1章~第2章 人体図ってなあに?

 

商圏とは何か。

 

「店舗に来店してくれる顧客が所在するエリア」のことだ。

 

しかしこの説明ではピンとこない。

 

商圏同士のつながりや全体を俯瞰するため、立地調査のプロは商圏を人体の部位で表示する。

 

・頭部:住宅商圏

 

・胴体部:車商圏

 

・手腕部:施設商圏

     →右手:建物、施設

     →左手:データ値、歩行者数

 

・足脚部:競合店

     →右脚:0~500mの競合店

     →左脚:501m~2kmの競合店

 

まず住宅商圏は頭、即ち顔の部分だ。

 

大きく肉付きがよいほど、商圏ボリュームが良いとなる。

 

しかし長さはそれほどない。

 

半径500m以内の住民が住宅商圏の主要エリアとなる。

 

これが500mを超えると徒歩来店は難しい。

 

車を利用しての来店を前提とすべき商圏なので、車商圏となる。

 

車商圏は胴体の長さと大きさ、その肥満度で表される。

 

では施設商圏とは何か。

 

施設商圏とは店舗から350m以内に存在する、住宅以外の施設のことだ。

 

病院、学校、遊興施設、商店街などが挙げられる。

 

左手はその施設を利用するための歩行者数が該当する。

 

施設の規模や利用者数が大事だからだ。

 

最後は足だが、足は腹部から下へさがることから競合店と位置付けられる。

 

 

 

第2部

第3章~第5章 住宅商圏・施設商圏の評価方法

 

住宅商圏は500m以内のエリアの世帯数、人口データが多いほど購買力が高いとみなす。

 

しかし首都圏と関西圏では世帯数や人口データが同じでも、売上ボリュームが同じとはならない。

 

この差を埋める最もわかりやすい指標が「家計消費支出額」だ。

 

この家計消費支出額と半径500m内の世帯数を掛け合わせることで、その住宅商圏の年間家計消費支出額を算出できる。

 

この数字を参考にすれば地域性などの違いもある程度緩和できる。

 

次に施設商圏だが、施設の捉え方は店舗で行うビジネスによって異なってくる。

 

例えばファーストフード店なら、家電量販店や遊興施設が効果が高い施設となってくる。

 

ただし寄与を見込める施設は150m程度、遠くとも350m程度の距離を目処にすべきだ。

 

 

 

第2部

第6章~第8章 車商圏について

 

車商圏は胴体で表されるが、車の商圏自体がない場合、胴体部分が欠ける人体図となる。

 

それぐらい車商圏は店舗にとって大事だということだ。

 

車商圏の評価方法は

 

①走行車台数:店舗前を通り抜ける車台数

 

②通過車の属性:軽自動車なら近隣主婦の利用者が多い、商用車、貨物車両が多いのは商用・産業道路となるなど、車の種別での区分

 

③入店の容易性:店舗認知が容易で車の運転上入店や退出がしやすいなどの総合的評価

 

以上三点を軸に評価すると良い。

 

走行車台数とは、基本的に店舗側のみの車線を通行する自動車の台数で計測する。

 

時間数は売上との相関が高い時間帯を中心に、数時間程度で良い。

 

ただし角地は注意が必要だ。

 

角地は視界性が良いという優位性があるが、走行車台数が多くとも入りづらいロケーションだと障壁となる場合もある。

 

物件は角地ではなく、進入路の入り易さを優先すべきである。

 

 

 

第2部

第9章~第11章 競合店やドミナント出店

 

競合店の調査項目のポイントは

 

・出店する物件からの距離

 

・競合店の売場面積

 

・営業時間

 

・駐車場台数

 

などである。

 

競合店の影響は距離に反比例し、売場面積に比例する。

 

ただし競合店には二つの側面がある。

 

商品やサービスで顧客の奪い合いをする一方、賑やかな人の流れを形成しているなら歩行者数を加味できるからだ。

 

次に、ドミナント出店は自社競合とならないのか。

 

ドミナント出店は確かに自社同士で売上を食い合う側面がある。

 

しかしドミナントは出店エリアの穴を埋める、競合店対策にもなる。

 

難しい判断だが、その評価には個々の商圏調査と売上実績の分析が必要だ。

 

 

 

第2部

第12章 統計手法からの「売上予測」とは?

 

「もしも○が△であれば□になる」といった外れが生じないよう、売上予測の項目数を増やすとどうなるか。

 

項目数を増やした場合、条件が重なれば精度は高まる。

 

しかし推定幅が拡大し、予測が予測でなくなる可能性も高まる。

 

項目数はできるだけ減らし、モデル構造を簡略化した方が良い。

 

本来、人間の消費行動はシステム化しづらいものだ。

 

つまり売上予測とは予測ではなく、「傾向」を表すものだといった考え方が望ましい。