副業から始める不動産投資 戸建投資術
第1章・第2章 不動産投資とは/戸建投資とは
私は不動産投資をスタートさせてから2年足らずでアパート4棟、戸建4戸を所有、キャッシュフローは約58万円/月になる。
30代でセミリタイアを果たした。
不動産投資には戸建、区分マンション、1棟アパートなど様々な投資対象と方法がある。
どの投資にも一長一短があり、向き不向きもある。
自分に合った投資手法選定が大切だ。
本書では最初の1棟目に「中古戸建」を購入する方法をおすすめしている。
なぜ中古戸建をすすめるのか。
次のようなメリットがあるからだ。
・価格が安いので始めやすい
・ニーズが高いので客付けしやすい
・借主の入居期間が長い
・建物管理は借主がおこなうので不要
・税金が安い
・売主が一般人なので価格交渉しやすく、高利回りを期待できる
ただしデメリットもある。
・融資が使えない場合が多い
・入居率が0か100かになる
・リフォーム費が高額になりやすい
メリットとデメリットを総合判断した場合、特に不動産投資初心者にとって中古戸建はハードルが低い。
中古戸建で大家の経験を積み、それから1棟アパートなどに挑戦するのが理想的ルートと言える。
ただし自己資金は500万円は必要だ。
理由は融資でもたつき、他者にとられないためには自己資金での購入を目指した方が良いからである。
第2章・第3章 物件選び・現地調査/「買う」「買わない」の購入判断
日本は人口が減少し続けている。
しかし、地域的には賃貸需要が将来的にも良いエリアは存在している。
具体的には人口15万から40万人以下の中堅都市で、大都市通勤に30分程度の地域がおすすめだ。
大都市は物件が高く、逆に人口が大変少ない都市は家賃が低く利回りが悪いからである。
具体的な条件を列挙するとこうだ。
・最初の物件は自宅から1時間以内が望ましい。
・スペックとしては3LDKか4LDKで建物面積80㎡以上
・築40年以内
・地方なら駐車場2台は必須
物件選びで大事なのは、ヒアリングと現地調査である。
例えば売主の売却理由が相続なら、指値できる可能性が高い。
近隣に迷惑住民がいないかなどもヒアリングしておきたい。
現地調査のポイントは
・表層リフォーム(交換ではなく塗装や張替え)で使えるか
・洗濯機置場が室内か
・横向きクラックが入っていないか
などだが、マイナス点は即NGではなく、指値の交渉材料にすると良い。
最終的に買う、買わないの判断は利回りから逆算してみることをすすめる。
算出に必要な数字は「家賃」「利回り」「リフォーム」「購入諸経費」だ。
【事例】
・想定家賃:7万円/月で年72万円
・物件価格:不明
・リフォーム:不明
・購入諸経費:40万円程度
この条件で利回り20%を狙うなら、物件価格とリフォーム合計額は320万円以内となる。
仮にリフォーム費が100万円なら220万円が物件価格上限だ。
私が初心者におすすめする判断条件はこの二つ。
・物件は300万円以下で買う
・「買いだ」と自信が持てない場合は見送る
第5章・第6章 リフォーム/融資
中古戸建のリフォームだが、DIYはおすすめしない。
その時間があるなら、客付けに時間を割いた方が良い。
しかし外注だとリフォーム代がかかる。
リフォーム代を節約する最大のテクニックは、次のようなリフォームだけで済む物件に絞ることだ。
・内装の塗装
・クロスやフロアの張替え
・洗面化粧台の交換
・残置物の撤去
・風呂の追い焚き機能追加
業者選定も工夫したい。
便利屋に発注するとリフォーム業者よりやや質は落ちるものの、安価でまあまあの仕事をしてくれる。
プロパンガス業者に長期契約を申し出るのも一手。
無償で給湯器やエアコンの新品交換などに応じてくれる場合がある。
次にリフォーム費用も含めた資金調達手段だが、正直、実績がない人への融資は大変厳しい。
そこで物件は自己資金で購入し、まずは自己所有にすること。
その後時間をかけて金融機関と交渉し、リフォーム費だけ融資を受けるのがおすすめだ。
第7章・第8章 入居者募集/物件管理
客付け広告料だが、家賃が低い場合や客付けに苦労しそうな場合は2ヶ月分を支払っている。
家賃設定は賃貸募集を開始して2ヶ月で決めるようにしている。
最初の2週間は様子を見て、反響がなければ少し下げてまた様子を見るという具合だ。
またペット飼育可にすると差別化できるし、数千円程度家賃もアップできる。
その場合、敷金2ヶ月、返却時のクリーニング費は借主負担が最低条件だ。
もし副業で大家をする場合には、物件管理は管理会社へ任せることをおすすめする。
例えば深夜にトイレが詰まったといわれ、全て対応するのは困難である。
家賃の5%程度が管理料の相場なので、大変ありがたい存在と言って良い。
ただし人口が少ない地方都市だと管理会社自体が少なく、5%で引き受けてもらえない場合もある。
そのような意味でも、ある程度の人口がある都市の物件が望ましい。
第9章・第10章 火災保険/節税
日本では火災や地震、台風や川の氾濫など、自然災害がいつ発生するかわからない。
火災保険の加入は必須だが、大家と借主が加入する火災保険の種類が異なることは理解しておこう。
大家が加入する火災保険は建物を守るため、借主は自分の家財と自分が原因で大家や他の入居者へ損害を与えた場合に弁済するためのものだ。
保険会社は、補償額を自由設定できる会社が望ましい。
高齢者に物件を貸す場合には「孤独死保険」に加入することをすすめる。
夜逃げされた場合も対象となり、一部屋あたりわずか月300円だ。
次に節税だが、個人事業主として大家業をスタートさせるなら青色申告がおすすめだ。
不動産所得の赤字を3年繰り越せるなどメリットがある。
とは言え、減価償却費の処理や売却タイミングによる節税など、自分だけで節税を考えるのは限界がある。
特に先々不動産事業を拡大する考えがあったり、法人化を考えたりしているなら、税理士との顧問契約をすすめる。
第11章・第12章 出口戦略/戸建投資の事例紹介
個人の場合、売却時期により譲渡所得税が変わる。
法人の場合、融資を受けて購入した物件を5年以内に売却し一括返済すると、心証が悪くなる。
従って5年以上は保有することをすすめる。
購入を検討しているエリアの将来人口増減もチェックしておくべきだ。
地方であっても一定の賃貸需要があるエリアなら、建物が使えなくなる等の最悪の事態に遭遇しても、土地として売却するリスクヘッジが行えるからである。
最後に私の戸建投資事例を紹介しておこう。
【物件スペック】
・価格300万円
・築29年
・4LDK
・駅徒歩10分以内
・中学校まで500m
・市街化区域
・駐車場2台分
この物件は680万円で売却されていたが、300万円の指値が成功した。
しかしながら、リフォーム費は失敗だったと思う。
外壁、屋根塗装で150万円、内装工事で110万円で計260万円。
相見積もりを取ることを怠ったことに加え、内装もここまで費用をかけてきれいにする必要はなかったと思う。
リフォーム費の失敗がなければ、もっと高利回りになった。
それでも家賃7.5万円で年間90万円、利益が年81万円で表面利回り16.1%、実質利回り13.5%を出している。
2件目は築85年、しかも墓の近くの擁壁物件で物件購入価格は100万円。
しかも水回りだけは表層リフォームで使える状態だったので、利回り20%は出せると判断し購入した。
初回の失敗を踏まえ、リフォームは便利屋へ発注することで安く出来た。
唯一失敗だったのが近隣で管理を頼める会社が少なく、手数料が家賃の7.8%となったことである。
それでも表面利回り31.8%、実質利回り22%という成果を得られている。