「入居率 100 %」を実現する「外国人大歓迎」の賃貸経営投資術

序章 なぜ今「外国人大歓迎」が満室経営につながるのか? 

 

外国人留学生の数は、コロナの影響で令和2年に約10%減少した。 

 

それでも平成24以降ずっと右肩上がりで増加していた。 

 

コロナが収束すれば、政府の移民政策により、留学生を含む外国人数の増加は確実視されている。 

 

にも関わらず、外国人の二人に一人が賃貸契約を断られているのが現状だ。 

 

今後ますます増大する外国人の賃貸需要に応えれば、外国人の手助けになるだけでなく、空室対策にもなる。 

 

私の会社は「外国人大歓迎」を柱とした賃貸経営を実践したことで、何度も年間入居率100%を達成した。 

 

しかもキャッシュアウト、即ちお金をかけて満室を実現したのではない。 

 

大切なことはお金による小手先の対策に頼らないこと。 

 

マーケティングをしっかり行い、それを賃貸経営に活かすことだ。 

 

将来を考えれば考えるほど、「外国人大歓迎」は増大する社会的需要に応えられる賃貸経営なのだ。 

 

 

 

第1章 すべての前提となる「CFP認定者田丸式・賃貸経営の極意」 

 

「入居率100%」を実現した田丸式「賃貸経営の極意」には、次のようなポイントがである。 

 

・立地は最重要 

 

一極集中が続く東京などは利回りが悪くとも、空室リスクは低い。 

 

一方、地方物件は利回りが良くとも客付けに苦労する。 

 

空室期間も長期化しがちだ。 

 

利回りの良さだけで立地を選んではならない。 

 

・賃貸経営の基本は「管理」 

 

借主に長期間入居してもらえるかは管理の品質にかかっている。 

 

例えばクレームへの対応が早いだけで、借主の満足度を向上させることが可能だ。 

 

管理料にこだわらず、時間をかけて良心的な管理業者を探すべきである。 

 

・競売、任意売却物件を狙う 

 

競売案件は市場価格の7割、任意売却は8割~9割程度で購入できる。 

 

ただし物件情報は容易には表に出てこない。 

 

情報ネットワーク網の構築が成否を左右する。 

 

・外国人オーナーから物件を購入する 

 

近年増加している外国人不動産オーナーの物件は、格安賃料が多い。 

 

不動産相場を知らないため、賃料を安くし入居者を埋める傾向があるからだ。 

 

そうした物件を入手すれば、賃料改善で高収益物件に変えることができる。 

 

・高齢者もターゲットにする 

 

外国人だけでなく、高齢者もターゲットとすべきだ。 

 

高齢者は家財保険や賃料保証会社との契約等で、リスクをかなりカバーできる。 

 

・借主に家財保険へ加入させる 

 

家財保険の「借家人賠償責任補償拡大特約」は大家にとって必須の保険だ。 

 

借主が誤って物件を傷つけても、保険で費用をカバーできるからだ。 

 

 

 

第2章 外国人に対する不動産業界の認識は遅れている?  

 

「外国人はトラブルメーカー」 

 

これが不動産業界の常識である。 

 

問題を起こす外国人がいるのは事実だ。 

 

しかしそれは国籍の問題ではなく個人の問題だ。 

 

夜逃げや騒音、器物破壊は日本人でも起こす。 

 

むしろ日本人は安心という発想の方が問題だ。 

 

外国人が問題を起こすケースはルールを知らない、または理解していないからである。 

 

例えば外国人がルールを知らず、パーティーをして夜騒ぐことがある。 

 

そのような場合、外国人の母国語で注意すると効果的だ。 

 

他にもゴミ出しルールを守らない、部屋を汚く使うといったケースもそうだ。 

 

日本に来ている外国人は、基本的に日本のルールを守って暮らしたいと考えている。 

 

母国語でルールをちゃんと伝えたり、契約書に盛り込んだりすれば、ほぼ問題は解決できる。 

 

また、外国人が母国へ帰国してしまった場合、滞納家賃が回収困難になるのは事実だ。 

 

それも外国人専門の賃貸保証会社を利用すれば解消できる。 

 

一昔前なら泣き寝入りしたようなケースでも、現在は対応可能な状況になってきたことを理解すべきだ。 

 

 

 

第3章 外国人を歓迎して賃貸経営を成功させる 

 

外国人の入居率をどう高めれば良いのか。 

 

ポイントは日本人特有のニーズと外国人ニーズの違いを理解することだ。 

 

例えば日本人には駅近物件が人気だが、外国人には重要ではない。 

 

日本ほど公共交通機関が発達している国はそうない。 

 

日本人と、特に途上国の外国人では駅からの距離に対する感覚の違いがあるからだ。 

 

また日本人は新築が好きだが、外国人にとって築年数は問題にならない。 

 

そもそも世界的には築年数30年など古い内に入らない。 

 

築年数の古さは建物の伝統として評価する外国人もいる。 

 

外国人の入居率を高めるポイントは、家賃や初期費用の抑制に力を注ぐことである。 

 

「日本は物価が高い国」との印象が外国人には大変根強いからだ。 

 

初期費用や家賃を下げる方策だが、日本人に不人気な物件を逆手に取れば良い。 

 

例えば風呂、トイレ、洗面台の3点ユニットの極小ワンルームは日本人には不人気だ。 

 

しかし湯船に浸かる習慣がない外国人は抵抗がない。 

 

駅から遠い物件で、設備費を抑制すれば家賃を下げることができる。 

 

また「定期建物賃貸借契約」により10年間賃料が下がらない仕組みを作れば、その分家賃を抑制でき、賃貸経営も安定する。 

 

しかし、万一途中で家賃が支払えなくなったらどうするか。 

 

その対策は「ループ」を作ることだ。 

 

退去時に次の入居者を連れてくれば、残月家賃や原状回復費を免除する特約を交わしておくのだ。 

 

外国人は同胞意識が強く、壁の傷などもあまり気にしない。 

 

更に「外国人を応援」との大家の姿勢を明示し、良好な関係を築くことも大切だ。 

 

そうすればループは続く。 

 

 

 

第4章 外国人専門の賃貸保証会社を仲介会社の台頭が外国人の入居環境を変えた 

 

外国人専門の賃貸保証会社や、外国籍向けの賃貸保証サービスを提供する保証会社が増えている。 

 

背景として、日本政府や業界団体の後押しがあげられる。 

 

保証会社の選び方のポイントは、どの国を得意としているかだ。 

 

例えばテナントに中国人経営者が多いと、社員も中国人を雇用する場合が多い。 

 

そのような場合は中国に強い賃貸保証会社を選ぶべきだ。 

 

契約もスムーズであり、「ループ」も継続しやすくなる。 

 

外国人専門の保証会社には、外国人入居者の生活サポートを無料で行ってくれるサービスもある。 

 

ゴミ出しルールの他、外国人が苦手とするATMの操作方法なども教えてくれるのだ。 

原状回復が必要な破損発生時も、大家に代わって交渉を行ってくれる。 

 

外国人専門の賃貸保証サービスは居住用が中心だが、近年では事業用の賃貸保証サービスも登場した。 

 

外国人の賃貸ニーズは居住用に限られない。 

 

外国人の日本流入数増加に伴い、外国人の事業用賃貸ニーズも高まっている。 

 

高額な事業用賃料の回収リスク緩和は、外国人ニーズに応える大きな一歩となるだろう。 

 

保証会社利用時の特に大切な留意点は、本人確認を徹底してもらうことだ。 

 

「他人へのなりすまし」をされてしまえば、素性がわからないグループに部屋を利用されてしまい、犯罪を助長しかない。 

 

外国人専門の賃貸保証会社が得意としている国なら、その国のパスポートに強い。 

 

不正防止の観点で頼れる存在と言える。 

 

 

 

終章 田丸ビルの出発点であり、理想としている「田丸荘」の物語 

 

60年ほど前に建てられた「田丸荘」は解体され、現在はない。 

 

田丸荘は60年間ほぼ満室だった。 

 

インカムゲインの総額は売却時のキャピタルゲインを優に超える。 

 

不動産投資におけるリスクとリターンのとり方に、正解はない。 

 

ただ確実に言えることは、賃貸業は不景気に強いということだ。 

 

キャッシュアウトしなければ、大変安定した業種なのである。 

 

出口戦略重視もよいが、それが投資の全てではない。 

 

物件と戦略を間違わなければ、長期インカムゲインによる資金回収は十分可能なのだ。