まずはアパート一棟、買いなさい!

序章 なぜ不動産投資なのか? 

 

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンである。 

 

短期間で数倍にはならないが、どんなに下ってもゼロにはならない。 

 

株やFXと異なり、金融機関の融資を受けられる点も不動産投資の特長だ。 

 

努力次第で利回りの改善もできる。 

 

外壁を塗装したり、和室を洋室にしたりすることで、物件の価値を高められるからだ。 

 

また、多くの資産家は建てたら終わりで、新しいことにはあまり取り組みたがらない。 

 

大家は多くとも、競争相手は少ないのである。 

 

新規参入組でも努力すれば勝てるのが不動産投資なのだ。 

 

もちろん不動産投資には空室リスクや事故による風評被害などのリスクもある。 

人口減少が進む地域では入居者獲得に苦労するだろう。 

 

しかし賃貸ニーズがある限り、縮小する市場環境でもやり方次第で成功できるのが不動産投資の醍醐味である。 

 

 

 

第1章 地方の一棟アパートか都心の築古アパートを狙え 

 

都心区分所有マンション投資は投資効率が悪い。 

 

その都度物件の調査、契約、リフォームと大変手間がかかる。 

 

その点で一棟アパートなら、1回の契約で複数の部屋が手に入るので効率的だ。 

 

ただし、賃貸経営は事業である。 

 

長期的視点で事業計画を立てる必要があることは、言うまでもない。 

 

その際、留意すべき数字はイールドギャップである。 

 

イールドギャップとはローン金利と利回りの差だ。 

 

この数字は最低12%は欲しい。 

 

ではどんな物件に投資すべきかだがそれは地方、または都心なら築古の一棟アパートである。 

 

その際、少なくとも300万円の自己資金は準備しよう。 

 

地方物件や都心の築古の物件は、フルローンを引くのが困難だからだ。 

 

 

 

 第2章 買ってもいい物件、買ってはいけない物件 

 

物件探しにはコツがある。 

 

ネット検索が最も効率的だが、「投資用不動産」という検索ワードでは競争相手が多い。 

 

優良物件の発掘は困難だ。 

 

一方「土地」で検索すれば、上物が付いている場合がある。 

 

木造ならリフォームすればなんとかなるし、値引き交渉し安いのでおすすめだ。 

 

しかしながら、買ってはいけないボロ物件も存在する。 

 

例えば軟弱地盤で建物が傾いている場合だ。 

 

生活にも支障が生じるし、リフォームでは改善できないので手を出すべきではない。 

 

雨漏りが放置されていた物件も避けた方が良い。 

 

エリアでおすすめは、地方物件である。 

 

ただし地方でも、企業城下町や大学周辺地は企業や大学の移転・閉鎖リスクがあるので要注意だ。 

 

次に競売物件だが安く購入できるか不確実な上、事前調査も行えない。 

 

任意売却物件の方がまだ良い。 

 

ただし債権者との調整に時間を要するので、二棟目以降に検討した方が良い。 

 

低利回り物件も手を出してはいけない物件だ。 

 

融資が受けやすくとも、イールドギャップが低下するからである。 

 

 

 

 第3章 資産性が低くても、銀行から融資を引く秘訣  

 

融資を取り巻く環境や基準はコロコロ変わる。 

 

厳しい時もあれば借りやすい時もある。 

 

ビギナーには借りやすいタイミングが、やはり狙い目だ。 

 

ただし築古や地方の物件だと、メガバンクでの融資は難しい。 

 

おすすめの金融機関は次のとおりだ。 

 

・地元の信金、信組 

 

地域密着で築古物件にも対応してくれる。 

 

・日本政策金融公庫 

 

融資期間は短いが、条件が悪い人でも融資を受けられる場合がある。 

 

・スルガ銀行 

 

利子はやや高めだが、最後の砦と言われている。 

 

・ノンバンク 

 

三井住友トラストL&Fなら、法定耐用年数超え物件の融資に応じてくれる。 

 

また、セゾンファンデックスは年収制限がない。 

 

・ゆうちょ銀行 

 

賃貸併用住宅限定だが、全国どこでも融資可能。 

 

 

ただし購入がゴールではない。 

 

まず最初の一棟の満室経営に尽力することだ。 

 

それが実績や経験となり、金融機関への信用ともなる。 

 

 

 

第4章 購入価格は自分で決める!値切りの交渉術 

 

価格交渉で一番いけないのが「まあいいか」と適当な価格で妥協してしまうことである。 

 

そうならないためにも物件に惚れてはいけない。 

 

イールドギャップを計算し、「ここまでなら買って良い」というラインを定めることだ。 

 

売主から有利な価格を引き出すには、相手を知ることである。 

 

売主の性格や事情など、仲介業者から事前に情報を得ておくことが大切だ。 

 

テクニックとしては物件の弱点を全て洗い出し、個々に指摘してゆくことである。 

 

修復の必要性と具体的な費用を伝えると、納得してもらいやすい。 

 

金融機関の評価を伝えるのも有効。 

 

価格交渉として諸費用やリフォームの見積なども、並行して進めておこう。 

 

また忘れてならないのが保険への加入だ。 

 

築古物件は何があるかわからない。 

 

火災保険と地震保険はセット加入が必須と言える。 

 

 

 

第5章 物件管理はプロにお任せ! いい管理会社の選び方 

 

管理はプロに任せるのが望ましい。 

 

ただし選ぶ上でのポイントがある。 

 

まず、リフォームを大家主導で行えるかどうかだ。 

 

リフォーム費用は利回りを左右する。 

 

工務店が管理会社を兼ねており、リフォームで儲けている場合があるからだ。 

 

もし管理の良さか、客付け力かで選ぶなら後者である。 

 

管理が良くても、お客様が入らなければ大家としてお手上げだからである。 

 

また、管理費の安さだけで選ぶのはナンセンスだ。 

 

管理費が安くても、リフォーム費をがっぽり取られては意味がない。 

 

少々割高であっても、良心的な対応を行ってくれる業者なら検討すべきだ。 

 

大家は管理会社と良好で、対等な関係を築くことが大切である。 

 

上から目線ではなく、共に成長してゆくことを心がけよう。 

 

 

 

第6章 大家さんの腕の見せどころ! リフォーム大作戦 

 

物件のリフォームを行う上で大切なことは、費用対効果を意識することである。 

 

自己満足からあまり完璧を求めすぎないことが大切だ。 

 

おすすめのリフォームは外壁塗装である。 

 

高額だがきれいになる上、防水機能回復効果もある。 

 

ケチるべきではない。 

 

リフォーム依頼時の鉄則は、複数の業者から見積りを取り、相場観を養うことだ。 

 

経験豊かな大家が知り合いにいれば、見積りに立ち会ってもらうとさらに良い。 

 

リフォームを理解する上で最も良い方法は、大家自らリフォームを行うことだと言える。 

 

現場作業の段取りもわかるし、相場観も確実に身に付く。 

 

ただし価格だけで業者を選定すべきではない。 

 

賃貸経営の長期的パートナーを選ぶつもりで、「この人に依頼したい」と思える業者を優先することだ。 

 

また満室経営に役立つなら、少々割高でも管理会社へリフォームを依頼するのも一つの手である。 

 

 

 

 第7章 入居者さん、いらっしゃい!満室経営を生む極意 

 

客付けの第一印象で大切なのは清潔感だ。 

 

空室期間が長い部屋は定期的な清掃を忘れないよう、心がけよう。 

 

客付けで不動産会社の営業マンをやる気にさせるのは、広告費増額ではない。 

 

報奨金の個別支給額を増やせば、やる気になってくれる。 

 

管理を頼んでいる不動産会社に広告費を支払った上で、他の不動産会社にも紹介を頼めば営業マンを増やすこともできる。 

 

大家自ら募集できる「ウチコミ」というサイト利用も有効だ。 

 

他には、生活保護者や外国人なども対象にすると客付け選択肢が増える。 

 

その際、役所との連携と保証会社の利用は必須だ。 

 

ただし客層を広げると、不良借主も一定割合でてくる。 

 

対策として有効な方法が「定期借家契約」である。 

 

契約満了とともに即時退去を求めることができるからだ。 

 

究極的な客付けの裏技として、引っ越し代を含めて初期費用ゼロにするという方法もある。 

 

 

 

 第8章 入居者が決まったら、いざリスクに負けない運用を 

 

賃貸経営上、支出項目をしっかり把握することはとても重要だ。 

 

税金や保険料、光熱費、リフォーム費や清掃費の他、町内会費なども忘れてはいけない。 

 

一方、収入面では以前ほど礼金や敷金が取れなくなっている。 

 

想定収入は低めに見積もっておくことが肝要だ。 

 

収入の一つである更新料も大家にとって大切な収入源だが、入居者に出ていかれては元も子もない。 

 

空室期間=損失と考え、更新料を受け取らないのも一つの方策である。 

 

築古や地方の物件は、もともと出口戦略が描きづらい。 

 

そもそも売れ筋ではないから安く購入できるのである。 

 

長く賃料を稼げるよう、リフォームなどに力を注いだ方が良い。 

 

それでも売却する場合は、銀行の融資基準が緩み始めた売り時を狙おう。 

 

買う側の立場になって、物件概要書を丁寧に作成することも売却時のポイントだ。