RealtyBankの創業ストーリー

米国の「ホームステージング」に学び、日本での「デジタルステージング」として展開

デジタルステージングをリリースしたきっかけは、私が米国の不動産会社で働いていた経験から来ています。米国では、不動産を販売する、または賃貸で募集する際には、必ずと言っていいほどホームステージング(実際に家具を設置する)か、デジタルステージングが行われていました。また、ホームステージングされた物件は、より早くより高く売買・賃貸される現場を目の当たりにしました。

実際に家具を設置するホームステージングはすでに日本にも普及していましたが、デジタルステージングは1枚1万円が相場で、不動産会社が気軽に導入できるレベルではありませんでした。米国のようにデジタルステージングが身近になって欲しいという思いから、私は米国カリフォルニアにある企業に接触し、デジタルステージングの技術提供を依頼しました。英語で日本のポテンシャル、不動産業界の現状、競合状況を説明し、自身が日本でデジタルステージングをリリースした際にできることを説明しました、非常にタフな交渉だったのを思い出します。

日本の住宅文化に合ったステージングをデザインできるまで苦心した

デジタルステージングの開発過程において、特に記憶に残るエピソードとしては、システムのローカライズの困難さがあります。米国企業から技術提供を受けたデジタルステージングですが、そのまま日本で利用することは難しいということを開発途中に実感しました。

米国と日本では文化やライフスタイルが大きく異なり、これをデジタルステージングの中に如何に反映させるかが大きな課題でした。例えば、日本特有の和室をどのようにステージングすれば良いか、和洋折衷のリビングにどのような家具を配置すれば効果的かなど、日本特有の生活スタイルを理解した上での設定が必要でした。この部分においては、日本のインテリアデザイナーや不動産業者との密接な協力が必須となり、多くの打ち合わせや議論を行いました。

また、システムのUI(ユーザーインターフェイス)設計においても、日本のユーザーが直感的に操作できるような配慮が求められました。ここでも多くのユーザーテストを行い、フィードバックを元に何度も修正を重ねてきました。

最後に、日本における法的な問題あります。不動産広告表示のガイドラインに沿った形でのリリースが必要です。ここでは、専門の法律家や業界の経験豊富なプロフェッショナルのアドバイスを頼りに、厳密なチェックと改訂を行いました。

クリエイティビティと生産性向上の効果

従来のステージングでは物理的なインテリアの設置が必要でした。しかし、デジタルステージングを用いれば、写真の上にデジタルの家具や装飾品を配置することが可能です。これにより、物件の魅力を最大限に引き立てることができます。例えば、同じ部屋でも、和風のインテリアでステージングするか、洋風でステージングするかによって、その物件の印象は大きく変わります。これにより、物件の可能性を広げ、多様な顧客にアピールすることができます。

また、生産性向上については、デジタルステージングは時間とコストを大幅に削減します。物理的なステージングでは、家具や装飾品の購入、設置、撤去など、多くの手間と時間が必要です。しかし、デジタルステージングであれば、それらの作業が不要になります。また、写真を撮るだけでいいため、物件の撮影もスムーズに行えます。さらに、デジタルステージングはコストパフォーマンスも高く、一枚あたりの加工費用が低価格であるため、多くの物件にステージングを行うことが可能です。これにより、ステージングを用いて物件を売り出すことが容易になり、生産性が向上します。

これらの要素が組み合わさることで、デジタルステージングは不動産販売の現場で大きな効果を発揮します。物件の魅力を最大限に引き立て、生産性を向上させることで、売上の増加につながります。これらの理由から、デジタルステージングは今後の不動産業界における重要なツールとなるでしょう。

リリース後10ヶ月で500社以上の導入。日本では2組に1組があらかじめネットで閲覧した物件をそのまま契約している事実が明らかに

現在では、2022年9月3日の正式リリース後日本国内の530社以上の事業者に利用頂いており毎月50社ずつ利用者が増えています。2022年に発表された21C住環境研究会と業界大手ポータルサイトを運営するSUUMOが発表したアンケート調査では(回答総数1107)驚くべき事実が明らかになりました。「来店前にネットで見た物件」にそのまま55.9%(新規契約)の人が契約しているということです。特に家族構成が「ふたり」の場合なら、65.4%がネットで選んだ物件を契約しています。これは、人々が不動産業者に問い合わせる前にネットで情報収集し、あらかじめ「これだ」と決めた物件を確認しに来ているという現象を示しています。

物件のネット掲載写真は、これからの顧客獲得に欠かせないツールとなります。デジタルホームステージングを利用することで、物件の魅力を最大限に引き立て、顧客が「これだ」と思える物件を提示することが可能になります。

「良い物件」はただの空間ではありません。それは賃借人のライフスタイルを豊かにする空間であり、新たな生活の舞台です。デジタルホームステージングを通じて、この「可能性」を見せることができます。このような視点で物件を考え、提案することが求められます。新型コロナウイルス以降では、出来る限りの情報をスマートフォンで獲得しています。デジタルステージングのようなヴァーチャル技術が一層重要性を増しています。

デジタルステージングを通じて業界の業務効率化を

今後もデジタルステージングを通じて不動産関連事業者が不動産広告に関する業務の全体的な効率化と品質向上を実現することを目指しています。直近のリリースでは、全国22の都道府県で物件撮影代行を開始しています。物件撮影は時間と労力を要し、特に遠方に物件を所有しているオーナーや、適切な撮影方法に不慣れなユーザーにとっては大きな負担となります。

専門のスタッフが物件撮影を代行し、高品質な写真を提供するサービスを開始します。また、これらの写真はデジタルステージングをより効果的に利用することが可能になり物件の魅力を最大限に引き立てる演出ができます。私たちは不動産関連事業者にとって更に使いやすい環境を提供し、その結果として不動産業界全体のデジタルトランスフォーメーションを推進します。

デジタルステージングについて

https://digitalstaging.co.jp/

【株式会社 Realty Bankについて】

社名: 株式会社 Realty Bank

創業: 2021年11月

資本金: 1400万円

代表取締役: 川上 将司

所在地: 北海道札幌市中央区北1条東10丁目15-82-2010

事業内容:

不動産広告・マーケティングサポート事業、デジタルホームステージングサービスの開発、販売、提供等